先週はみずほ総合研究所でのセミナーに続き、富士市の企業で研修を行いました。
裏山が富士山という素晴らしいロケーションです。
しかし、「地元の観光地には行かない」ということが多いですね。
地元の人たちの8割方が、「富士登山未経験者」でした。
たった一度登っただけの私が、偉そうなことを言うのも何ですが、行く価値大いにありです。(また書きますが、)
今回は、車で行くか・新幹線で行くか、迷いながらも車を選択して、帰り道の渋滞で4時間近く掛かってしまい、もう車で行くのは懲り懲りです。


このところ経営戦略、マーケティング戦略、営業研修など、アチコチ駆けずり回っていますが、大変なのは頭の切り替え。
業種も規模も社風も、商品・サービスとあらゆるものが違う企業に行くのですから、当然と言えば当然なのですが。
しかし、本質的なことは全く同じです。
私の仕事は、その会社の特定の誰かのためにやるのではなく、「社員の幸福」のためにやるのです。

顧客満足の追求が大事なのは、誰にでも理解できるでしょうが、その活動をするのは従業員なのです。
つまり、「従業員満足の追求」を本気で進める会社でなければ、戦略の成果は出ません。
「順風の時」も「アゲインストの時」も、終始一貫「我社には、社員以上に大切なものはない!」と、本気で訴え、本気で邁進するところに戦略の整合性が生まれると言ってもいいでしょう。


だからこそ、私が関係している指導先では常に、最も大事なことは、
「明るく、楽しく、イキイキ取り組むこと」
「叱られたり、怒鳴られたりしながらのマーケティングなんてあり得ない」
「どうすれば、もっと楽しめる仕事にしていけるのか」
を一緒に考え、
「前を向いて、明るい明日を創るための「考働」をしていく」
ことを大切にしています。
考えて働く「考働」ですから、怒られたり責任を押し付けられたりしながら、身も心もボロボロになりながら、いいアイデアが出るはずもないし、アグレッシブな活動につながる訳がありません。



随分以前に経営指導させていただいたある会社で、現状分析をしていたら、少し前の会議の席での役員と管理職A氏のやり取りと、その後の顛末を聞いて驚きました。
前月の部門業績検討会議で、未達成部門の管理職A氏に対して、とにかくボロクソに言い続けている役員に、ついに管理職A氏は我慢の限界に達し、
「おっしゃる通りだと思いますし、最善を尽くそうと部門を挙げて頑張っているつもりもあります。しかし、この無様な実績を改善する手立てが、もはや浮かびません。お叱りはごもっともとして、何かアイデアやヒントを一緒に考えて頂けないものでしょうか?長い間、我が部門は顧客のみならず、社内でも見放された状態です。この会社は一つではないのですか?!」
「何言ってんだ、無責任な!俺のせいとでも言うのか?!それが君の仕事だろうが!甘えるな!自分で考えろ!」
と言い残して、役員は席を立ってしまったそうです。

溜めに溜めて爆発した管理職A氏は、翌日辞表を出しました。
社長に涙ながらに、
「私はあえて一番苦しい事業部門への移動を希望し、全社員の幸せのためにと頑張ってきたつもりです。しかし、あれではもうこの会社では、自分が不幸になる想像しかできません。」
と訴えて、引き留める社長の言葉に耳を貸さずに会社を去りました。
彼は、社長が将来の幹部候補の筆頭に挙げている大変有能な男で、社長のショックも大変大きなものでした。

この罵詈雑言の役員だけのせいではないのです。
皆で一つになって、智恵を絞り、意見を交わし、アイデアをぶつけ合うようなビビッドな風土がないのです。
結局、この役員は解任され、彼もまた会社を去ったそうです。
根幹の思想的判断ミスによって、「2人の大事な幹部を失ってしまった」という正に後の祭りです。
根幹の思想的判断ミスとは、企業の経営思想・哲学・価値観の未熟さの成せる業です。
結局、二人の有能な人間が、会社に大きな恨みを残して去りました。

退職後に業務上解らないことを、数名の部下が問い合わせたら、「常に留守電で、メールにも全く返信なし」で、周りの部下たちにも動揺が広がったそうです。

社員たちは言い始めます。
「ウチってブラックだよね。明日は我が身だ。」
「ブラックじゃなくて、アウトじゃない?!」
「そうか、間もなくナッシングかー。給料もらえているうちに就職活動はじめなきゃ。」
こうしてドミノは連鎖していくのです。
この状態をリカバリーするのは至難の業ですが、先ずはドミノの間にストッパーを掛ける必要があります。

さて、一体何がストッパーとなるのか。
それは、これまでが間違いだったことをしっかりと認めて、本気で「従業員第一主義に徹する」と高々に宣言することです。

この会社に関わるようになり、私は経営会議や営業研修の前後に時間を作って、社長・幹部と徹底的に議論しました。
本気でなければ思想ではないのは当然で、建前やキレイ事では浸透も定着もしません。
体裁だけの言葉の軽さは、誰もが経験のあることでしょう。
経営の本気度は、この根幹に足を踏み入れて、死ぬほど悩んで本質に辿り着くかどうかで決まるのです。

順風の時には、真価が問われることはありません。
キレイ事を言っていても、とりあえず売上も利益も着いてきているから、本質を追求するという切実さに欠けます。
会社存亡の危機には、本気になるしかプレゼンスの継続はないし、本気になれなければマーケットからの退場を余儀なくされるのです。

ある意味で企業のピンチとは、本質を追求するための大きなチャンスなのです。

順風満帆な会社にいるあなた、そんな時にここに踏み込めれば、会社は急激に思想レベルを上げ、とんでもなく強い会社へと進化を遂げていくはずです。
皆が本気で、本音が飛び交い、必要な時に必要なメンバーが問題・課題の解決のために集うような、自発的クロスファンクションが根付けば、さらに大きなエフェクティブ・シナジーが生まれます。
言いましょう、声を大にして、
「我社には、社員以上に大切なものはない!」と。

2013.7.16.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

祝 世界遺産登録! いつ見ても雄大な富士山。
セピア色のトワイライト・バージョン。
あ、右にUFO!

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ではなく、ホテルの部屋の灯りの写り込み。


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