先週の突然の大雪には、流石にびっくりしました。
ちょうど翌日が都内での研修だったので、「車で行くのはやめよう」と即断即決できて助かったような気もしますが、、。
それでも翌日はまだまだ歩道上に山のような残雪で、転ばないようにドキドキしながら代々木の会場へ向かいました。
今更ながらですが、特に東京は雪に弱いですね。
数年前に大晦日の昼間に雪が積もって、車で1時間の場所まで8時間掛かってヘトヘトになったことがあったのを思い出しますが、今回はスキーに行っていた友人が、「早めに帰ろうと思って、朝出たのに9時間掛かって帰ったよー」と嘆いていました。

年中様々な移動手段での出張が続く私としては、雪の心配が一息つくかという時に、今度はボーイング787の頻発する故障の問題。
まだ世界中で50機ほどとは言え、B787の全ての運行を停止して調査をしています。
以前「ハインリッヒの法則」で書いたように、このレベルのトラブルの時にこそ徹底解明と改善を行わなければ、重大な事故を未然に防ぐことはできません。

18日は中小企業大学校の「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」の講座のため、羽田から鹿児島へ飛びましたが、前日B787の欠航続出のニュースを見てネットで確認すると、私の便はB787、、、、。
「おいおい、勘弁してくれよー」と調べてみると、「機材変更でフライト」との表示で、ホッと胸を撫で下ろしました。
19日に仕事を終えて、帰りの便もB787の予定でしたが、こちらも「B777に機材変更でフライト」ということで、冷や冷やしながらも何とか無事に帰りました。

「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」講座は、歴史作家の加来耕三氏とのペアでやりました。
前日の夜、加来さんや大学校の方と飲んだ球磨焼酎と天然ものの鰻の旨かったこと、そこに大盛り上がりの歴史談義も加わり、実に楽しい時を過ごしました。
ご参加者はほとんどが経営者で、こちらが思っていた以上に真剣且つしっかりした問題意識を持ってのご参加で、休憩や講義後に色々な質問やご相談を頂きました。
流石、こういうタイトル・コンテンツの講座に申し込まれる方、企画を考える方は「意識レベルが高い」というのが率直な印象です。
今日は先に書きたいことがありますので、また次の機会にでも書きたいと思いますが、このテーマはこの「混迷を極める乱世には絶対に必要な経営幹部の研修テーマ」だと確信しました。


さて、先程のB787のことをはじめ、飛行機や車や機械など、あらゆるものがハイテク化していることで高効率を実現したり、飛躍的に性能が高まったりしていますが、その代償として故障の時には原因究明が難しいということにもなります。
これも10年程前の古い話ですが、箱根での仕事の帰り道、車にはまだ4分の1位はガソリンが残っていたのに、走行中にエンジンが突然「ストン」と止まってしまい、近くの修理工の人に見てもらいました。
彼はざっと見て、「あ、これは車じゃなくて、コンピューターを直せる人じゃなきゃ無理ですよ」と一言。
箱根で車を置き去りにして、レンタカーで帰りましたが、後日車屋さんからやはり「すいません、コンピューターが壊れてましたので、取り替えました」と報告。
もはや修理ではなく、積み替えです。
ホント、便利なものほどトラブルが厄介です。



話は変わり、1月12日(土)の日本経済新聞のNIKKEIプラス1の何でもランキングに、『覚えておきたい「現代の名言」』というのがありました。
「座右の銘にしたいのは」「落ち込んだとき元気になるには」「仕事にやる気が湧いてくるのは」と、3つのカテゴリーに分けられ、それぞれのベスト10が出ていました。

各カテゴリーの1位をご紹介すると、
「座右の銘にしたいのは」 --- 『強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ』(元サッカー西ドイツ代表のフランツ・ベッケンバウアー氏)
「落ち込んだとき元気になるには」 --- 『人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている』(作家の伊集院静氏)
「仕事にやる気が湧いてくるのは」 --- 『前進できぬ駒はない』(棋士の中原誠氏)


それぞれの1位以外にも腹に落ちるものがたくさんありましたが、将棋の世界で一時代を築いた中原誠氏の『前進できぬ駒はない』は、この混迷した時代には名言中の名言だと思います!
今、大乱世の真っ只中を生きている私たちは、ふと弱気になった時に、前に進めなくなったような気分に陥る時もありますね。
そんな時にこの言葉は、「飛車・角でなくても歩でいい!明日<と金>になるために、今日も一歩だけ進んでやる!」という勇気を与えてくれます。

大学院を出て博士号を取っても、学校にも残れず正規雇用の仕事にもありつけないという人が、半数近くいるそうです。
弁護士なども同様に、「イソ弁」にも「ノキ弁」にもなれずという人がたくさんいるようです。
博士も弁護士を目指した人も、「飛車・角になる、なれる」と思って、必死で勉強も努力もしてきたはずです。
この努力する能力こそ、企業でとんでもなく活躍できるだけの下地を作ったことになります。
ですから、想定外だった企業の「歩」から始めて<と金>になって進み、飛車・角に化ける!という選択もあると思います。

今回の中小企業大学校の「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」講座は、「乱世に生きているということは」ということから、「乱世に勝ち残る智恵」というお話をさせて頂きました。
「知識偏重の治世の建前」から脱却して、「思想・哲学・価値観の共有と振り絞る智恵」の時代の生き方の確立、そしてこの時代に相応しい「新しい日本型経営」の確立が急務です。
また、書きたいと思います。
1年で一番寒い時期になりました。
お風邪など召されませんように。

2013.1.20. ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝