昨日はしばらくぶりに、尊敬するコンサルタントの神戸健二先生と新宿で楽しいお酒を飲みました。

 新宿の待ち合わせの定番の「西口交番前」で待ち合わせして、ほど近いお店に入るやいなや二人とも間の空かないマシンガントークで、瞬く間の2時間45分でした。

 おそらく4時間分位はしゃべったことでしょう。


 ちょっと先生を疲れさせちゃったかなと反省しながらも、やはりお話していて楽しいし、納得がいくのは『常に「本質論」だからだなー』と、帰りの道すがら頷いていました。



 先生は高校卒業後、リコー奨学生として横浜国立大学工学部を卒業されて、リコー生産本部・生産企画室室長、上海リコーFAX有限公司副社長、リコーユニテクノ(株)取締役社長など歴任されて、2003年神戸経営総合研究所を設立されました。


 リコー式はもちろんのこと、トヨタ式、キヤノン式などにも精通され、「人づくり、モノづくり、顧客づくり」を探求し、人材育成、生産物流改革、経営改革を実践指導されています。



 お話していて何度も出てくるのが、「現場力」という言葉です。


 とにかく徹頭徹尾の「現場主義」です。


 私もよく三現主義 --- 「現場で、現物に触れて、現実を知る」と口にするのですが、経営改革も教育も「現場の今」を見ずしては語れないものです。


 まして現場を理解していない幹部から「ああだ、こうだ。」と言われたら、現場のやる気は削がれてしまいます。



 確か初めてお会いした時に、経営不振に陥った名古屋の「高野精密工業」(現在のリコーエレメックス)の再建のお話などを伺い、「実に奇遇ですねー。実は私も以前リコーエレメックスで、しばらく幹部研修などをやらせていただいていました。」と一気に親しくなったのを覚えています。


 やはりいつも思うことですが、「出逢いに偶然はない。必然で出逢っている。」ということですね。

ほどなく「お酒を飲んだり」「ゴルフに行ったり」、まるで何十年のお付き合いをしているかのような感じです。



 ご本人の人間性は言うまでもなく、先生はあのリコーの伝説の経営者であり「リコー三愛グループ」の創始者である市村清氏の薫陶を受けられたのでしょうね。


 神戸先生を通して、市村清氏のことも少しわかってくるような気がします。


 経営の神様と呼ばれ、経営者から文化人までも市村清氏を取り巻いて教えを求め、世間はこれを称して「市村学校」と呼んだそうです。


 「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の三愛主義をモットーに三愛商事を作り、あの銀座のシンボルともいえる銀座4丁目交差点に建つ、円柱・総ガラス張りのビルも「お客樣を動かさず、建物を回して商品の方を動かしてはどうか」という市村清氏の発想で作られたと聞きます。


 市村清氏は「人の行く裏に道あり花の山」を座右の銘としていたといいますから、正にこれも理念の実践であり、あのビルは理念経営のシンボリックタワーと言ってもいいのではないでしょうか。



 私が知る中で、もう一人この座右の銘を持っていたのは、最後の相場師と呼ばれた「是川銀蔵氏」です。


 色々と仕事上のお付き合いがあったものですから、亡くなる数年前に92歳の是川先生に色紙を書いていただいたのですが、書かれた言葉は「誠と愛」でした。


 「人の行く裏に道あり花の山」で新たなチャンスメイクをしていくのですが、その根底には常に人としての「誠」と他者や社会に対する「愛」があるということですね。


 人は違えども「本質」は同じです。


 またいつか「是川銀蔵伝」も書いてみたいですね。



 話を「リコー三愛グループ」に戻すと、リコー本体は言うに及ばず、三愛石油を設立し、外資の攻勢をはねのけて、羽田空港の給油権を獲得するなどの快進撃を続けてこられました。


 以前にも「不易流行」で書きましたが、絶対に変えてはならない価値観と大胆に時代変化に立ち向かうというのは、幹部や管理職がその企業の創業の魂を新しく入ってきた社員にしっかりと継承していった成果と言うこともできるでしょう。



 市村清語録を少し調べてみたのですが、
『書いたものより口約束こそは守れ。うそをついてはいけない。』


 現代社会では「書いたものが残っていなければ、口約束などどうでもいい。」というのが、激増していると思います。


 「だます側」と「だまされる側」で格差社会を形成して、「どうせならだます側になれ」という劣悪な価値観が蔓延しているような気もします。


 「愛を持って誠を通す」という価値観を、今一度しっかりと再認識したいものです。



 もう一つ挙げると、
『もし成功に秘訣があるとすれば、他人の立場を理解し、他人の立場から物事をみる能力を持つことである。』


 どれだけ真剣に相手の「ニーズ」「ウオンツ」を知る努力をするか、「相手の立場に立ってみる」というよりも「相手の立場に立ちきって考える」ということでないと、相手の立場や心情は「わからないことだらけ」なのです。



 ところで昨日、神戸先生から本場信州の新そばと善光寺門前の八幡屋磯五郎のゆず七味唐辛子を、お土産にいただきました。


 そば好きの私はもう、しばし無言になるほどの旨いそばと磯五郎とのベストマッチングでした。


 わさび不要です、この食べ方は絶対にお勧めです。



 神戸先生からも色々とサジェッションをいただいたのですが、本もいただきましたので20数年ぶりに「日暮硯(ひぐらしすずり)」を読み直して、近いうちに書きたいと思います。


 是非ご期待ください。


 かなり冷え込む日も多くなりましたので、お風邪など召されませんよう、くれぐれもご自愛ください。



2011.11.29.  「いい肉の日」に記す  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝


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