昨夜遅く連日の研修から帰ってきました。

 仕事の疲れもさることながら、飛行機での移動も疲れますねー。

 羽田に車を停めていたから、お酒も飲めないし、、、。


 お酒と言えば、今日はワインの新酒ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais nouveau)の解禁日です。

 解禁は毎年11月第3木曜日というのが、近年になってから誰もが知るところとなりました。

 元々はその年のブドウの出来栄えをチェックするために、主にワイン業者に向けての試飲会という意味合いが強かったようです。

 その後、一般消費者向けのイベント化に成功したという事例です。

 新酒をいち早く飲みたいと、時差の関係で「世界で一番早く飲める」ということで、成田のホテルまで行って盛り上がる様子が報道で大々的に報じられ、売り手とすれば正に「してやったり」のマーケティング成功事例でしょう。

 クリスマス・ケーキや、バレンタインのチョコレートなどとも近い事例ですね。


 ワイン通の中には、前記のことなどからボジョレー・ヌーヴォーを蔑視する向きもあるようですが、、、。

 ま、個人の好みの問題だから、「旨いなー」と言って飲めれば、それで充分幸せでしょうね。

 今年のブドウは出来がいいとも聞きますし、比較的価格も手ごろのものも多いですから、ちょっと味見してみるのもいいのでは?!


 さて、ボジョレー・ヌーヴォーの対極にあるのが、ヴィンテージ・ワインです。

 ぶどうが質・量共に出来が良かった年のものを、特に " vintage "と呼んでいて、年代物の逸品中の逸品ということでしょう。

 車やジーンズやギターなどにも" vintage "がありますが、マニアやコレクターにとっては垂涎の品ということ。

 興味がない人にはただのボロですが、、。


 "vintage car"と言えば、私がまだ新入社員に毛が生えた位の頃に、取引先の社長が凄い車好きで、「遂に手に入れたぞ!見に来い!」と言われて、行ってみると初めて見るクラシックのベンツがありました。

 「晴れの日しか乗らんのやー」と言ってご満悦の社長だったのですが、私としては動くわけないと思っていたものですから、「えっ?!社長!これ動くんですか?!」と聞くと、「うん、買った時はエンジンも足回りもイカレていたから、大金かけて復活させたんやー。買った金額位かかったよ。」と。

 そのオーバーホール費用は、当時ベンツのバリバリの新車が買えるほどの金額で、好きなものに傾ける凄い情熱は、同時に強烈な事業意欲にも現れていました。

 「大切なもののために頑張る」「好きなことのために頑張る」というのは、極めてベーシックなモチベーションですね。


 そういえば、数年前に亡くなった私の顧問先の社長がヴィンテージ・ワイン愛好家でした。

 自宅に一年間完全に温度・湿度を一定に保ったワイン専用部屋を作り、多くのヴィンテージ・ワインがいつの日かやってくる出番を待っていました。

 確か亡くなった時に、五大シャトーのヴィンテージ・ワインを少しだけ口に含ませてから、荼毘に付されたそうです。

 この社長はある業界団体の上部組織の世界団体の役員をされていて、年に何度もヨーロッパに出張に行かれていました。

 ある日、打ち合わせのためにご自宅にお邪魔していたら、何となくワインの話になって、「先生、私ねー、フランスに行ったついでにヴォーヌ・ロマネ村まで足を延ばして、買いに行ったんですよ。」とおっしゃいました。

 そうです。世界で最も手に入りにくいという、あのロマネ・コンティーを「箱買い」しに行ったという究極の大人買い。

 「しかし流石に売ってくれなかったなー。でもね先生、せっかくはるばる日本から来たんだからと1杯だけ飲ませてくれましたよ。」と、上品でおおらかな笑顔で語っておられたのをよく覚えています。

 大変な希少価値で、「飲むよりも、語るワイン」と言われるほどのロマネ・コンティーは、品質にこだわり、ただでさえほんの狭いぶどう畑に少なめに作付けするため、生産は多い年でも7,000本、少なければ4,000本とも言われるほどです。

 ワイン好きの憧れの一杯ですが、ロマネ・コンティーはどんなに安くても蔵出し時点で軽く10万円超えすると言われ、良質な年のものですと1本100万円をはるかに超えるというものです。(円高の今はチャンス到来かも。)

 都内でグラス売りしている店があるというのを聞いたことがありますが、小さなワイン・グラスに控えめに注がれたロマネ・コンティーが一杯5万円(しかも税・サ別)だとか、、。

 「テイスティングで匂いを嗅ぐだけで1万円かなー」と、以前知り合いのソムリエに話していたら、「コルクを抜いて、一杯売って、残りが酸化したらアウトですよ。私ならそんな危険なことは絶対にできません。」と。

 結局、「いつの日か飲んでみたいものだ」と「語るワイン」になるのかなー。

 数年前に私が経営学を担当していた学校で、生徒に5大シャトーやロマネ・コンティーの話をしていて、「俺も飲んだことないけどサー、君たちも一度は飲んでみたいと思うだろう?!ロマンだねー。ロマン・コンティーなんちゃってー。」とオヤジ・ギャグを飛ばしたら、一人の女子学生がスッと手を挙げました。

 「あのー、私飲んだことあります。」、、、しばし絶句。

 彼女は親戚のお金持ちの叔父さんが、「お前にも一杯飲ませてあげよう。」と言って、ご馳走になったそうな、、。

 羨ましい、、、とりあえず今日はボジョレー・ヌーヴォーを楽しむことにしますが、いつの日か自分の生まれた年のヴィンテージ・ワインを飲んでみたいものです。



2011.11.17. ボジョレー・ヌーヴォー解禁日  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝


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