俗に企業の寿命は30年といいますが、実のところ10年生存率でも20%というところでしょう。それが半世紀50年の生存率ともなれば、わずか1%。
何としてもと会社の存続・繁栄を願い、気が休まらない経営者が多いのは至極当然の話です。
成長・発展・規模拡大・時価総額の増大・社員への高待遇と、経営者の願いは果てしないものでありますが、誤解を恐れず極論するならば「会社は成長しなくても、大して儲からなくてもいい」。
ただし絶対に赤字にならず、絶対に倒産の憂き目を見てはいけない。企業の一番ベーシックな社会貢献とは、健全に存続を続けることです。
逆説的ではありますが、「存続を続ける」とは「守りに走る」ことではありません。
企業・組織は成長・発展・存続の年輪を刻むほどに、『守りの組織人集団』を形成する傾向があります。
「休まず、遅れず、働かず」などというサラリーマンを揶揄するような言葉もありますが、象徴的な『守りの組織人集団』の姿でしょう。
● チャレンジングな風土を
換言すれば、組織風土が「減点主義」の色を濃くしている証拠であり、随分昔から「減点主義では社内にチャレンジャーがいなくなる。脛に傷を作ってでも加点主義で」と言ったものです。
ところが、人事システムは加点主義スタイルにリニューアルされたが、実際の運用段階で上司が減点主義になってしまい、部下が伸び伸びとチャレンジしないというのもよくあることです。
企業も人も減点主義・守りの体制や風土をつくってしまう主因は、「攻めることのリスク」ばかりに囚われてしまうことなのでしょう。
しかし、この激変の乱世の時代に「攻め忘れ」たり「攻め遅れ」たりというのは、「機敏さ」という競争要素が重視される中では命取りになってしまいます。
● 期待に応える
極めて原則的なことを申し上げれば、組織においての「仕事」とは「○○の期待に応える」ことです。
「○○」の中に入れるものは、「顧客」を筆頭に「社会」「社長」「上司」「同僚」「家族」etc.と様々ですが、肝心の「自分」を忘れてもらっては困ります。
色々な変化・変質をしていく「期待」=「ニーズ」というものに「応える」ためには、今まで通りのことを維持することだけでなく、同時に「前に向かって、新しい期待に攻め入る」ことしかないのです。
そのことを自覚して、自分を磨き、能力を高め、ヤル気に満ちた「人財」こそが、組織を新たな発展へと導くのです。
● エンプロイ・アビリティーを意識する
エンプロイ・アビリティーとは、20世紀終盤の双子の赤字に苦しみ、不況を抜け出せないでいたアメリカで生まれた概念です。
企業がリストラクチャリング・ダウンサイジング・雇用調整に苦しむ中、Employ=雇用・Ability=能力というこれら二つの言葉を合成して作られたもので、社員自身も「自分の雇用が維持される訳」を自分の努力で勝ち取ってほしいというものです。
つまり、会社という神輿を担がないでぶら下がるような「お荷物社員」が増えれば、当然のことながら皆余剰人員になります。
それでは困るので、もっと自分の雇用に真正面から向き合って、会社から「君はこの会社に不可欠な人財だ」といわれる客観的理由を持つべきというものです。
その視点は2つで、
① 会社における自分自身の現在価値が、会社から「雇用継続」を求められるものであるか。
② 他社・他業種にも通用する能力を持ち、社外での市場価値を認められる人材であるか。
ということです。
①の視点は、会社から「君、いらない」と言われないのが最低条件であり、②の視点は「君なら是非うちの会社に来てほしい」と他社から引っ張られるという、言わば「キャリアアップ転職能力」です。
我国でも1998年頃からこのエンプロイアビリティーという言葉が使われはじめましたが、その背景はバブル崩壊後の不況で業界の労連や大手労組までもが、このことを言いはじめたことが大きなポイントです。
「自分の雇用を自分で守れるだけの努力をしてくれなくては、労組としても面倒は見れないよ」ということです。
アーティストに例えるならば、与えられた舞台に相応しいパフォーマンスを果たし、自らの存在価値を確立し続けて、また次のもっと大きなステージに立つということがチャンスを活かすことです。
人財は「プロフェッショナル」として、プロ根性・プロ魂を持って自らの力量を磨き、企業が整備した環境・ステージの上で「顧客感動という成果」を創らなければならないのです。
つまり、顧客のニーズ変化を見逃さずフレキシブルな対応をしていくことで、Solution=問題解決型ビジネスを確立していくのです。
昨今、普段腕時計を使用しない人が増えていますが、概ねその理由は、「携帯電話の時刻表示で事足りる」ということです。
このことは、業界・カテゴリーの中の競合が変革しているということであり、カテゴリーの枠を越えた、思いもよらぬ新たなライバルの出現を意味するものです。
その時代変化を敏感に察知しなければ、「おかしい、、売れない、、頑張っているのに、、」ということになります。
新たなトレンド・ニーズの方向性を見出し、半歩先の手を打ちはじめることこそがビジネス・センスであり、それは、「ニーズ変化に対応する新たなメリットの準備」と表現してもいいでしょう。
過去の成功の上にあぐらをかいているとは言わないまでも、そこに危機感・問題意識を強く持たなければ、「変化=衰退=滅亡」ということになってしまうのです。
日常生活の中で、見過ごしがちな小さな現象を洞察する習慣を持っていれば、そのうちに必ず「?」(何となく違和感)が「!」(強い気づき)に変わる瞬間がやってくるものでしょう。
意識して新しい習慣を持つだけでも、あなたの「エンプロイアビリティー」を格段高める切っ掛けになるかも知れません。
2011.7.12 ビジネススキル研究所 鶴田 慎一 拝
経営戦略・マーケティング戦略・営業研修・営業セミナー・ビジネススキル研修など、お問い合わせ・ご依頼をお待ちしております。
何としてもと会社の存続・繁栄を願い、気が休まらない経営者が多いのは至極当然の話です。
成長・発展・規模拡大・時価総額の増大・社員への高待遇と、経営者の願いは果てしないものでありますが、誤解を恐れず極論するならば「会社は成長しなくても、大して儲からなくてもいい」。
ただし絶対に赤字にならず、絶対に倒産の憂き目を見てはいけない。企業の一番ベーシックな社会貢献とは、健全に存続を続けることです。
逆説的ではありますが、「存続を続ける」とは「守りに走る」ことではありません。
企業・組織は成長・発展・存続の年輪を刻むほどに、『守りの組織人集団』を形成する傾向があります。
「休まず、遅れず、働かず」などというサラリーマンを揶揄するような言葉もありますが、象徴的な『守りの組織人集団』の姿でしょう。
● チャレンジングな風土を
換言すれば、組織風土が「減点主義」の色を濃くしている証拠であり、随分昔から「減点主義では社内にチャレンジャーがいなくなる。脛に傷を作ってでも加点主義で」と言ったものです。
ところが、人事システムは加点主義スタイルにリニューアルされたが、実際の運用段階で上司が減点主義になってしまい、部下が伸び伸びとチャレンジしないというのもよくあることです。
企業も人も減点主義・守りの体制や風土をつくってしまう主因は、「攻めることのリスク」ばかりに囚われてしまうことなのでしょう。
しかし、この激変の乱世の時代に「攻め忘れ」たり「攻め遅れ」たりというのは、「機敏さ」という競争要素が重視される中では命取りになってしまいます。
● 期待に応える
極めて原則的なことを申し上げれば、組織においての「仕事」とは「○○の期待に応える」ことです。
「○○」の中に入れるものは、「顧客」を筆頭に「社会」「社長」「上司」「同僚」「家族」etc.と様々ですが、肝心の「自分」を忘れてもらっては困ります。
色々な変化・変質をしていく「期待」=「ニーズ」というものに「応える」ためには、今まで通りのことを維持することだけでなく、同時に「前に向かって、新しい期待に攻め入る」ことしかないのです。
そのことを自覚して、自分を磨き、能力を高め、ヤル気に満ちた「人財」こそが、組織を新たな発展へと導くのです。
● エンプロイ・アビリティーを意識する
エンプロイ・アビリティーとは、20世紀終盤の双子の赤字に苦しみ、不況を抜け出せないでいたアメリカで生まれた概念です。
企業がリストラクチャリング・ダウンサイジング・雇用調整に苦しむ中、Employ=雇用・Ability=能力というこれら二つの言葉を合成して作られたもので、社員自身も「自分の雇用が維持される訳」を自分の努力で勝ち取ってほしいというものです。
つまり、会社という神輿を担がないでぶら下がるような「お荷物社員」が増えれば、当然のことながら皆余剰人員になります。
それでは困るので、もっと自分の雇用に真正面から向き合って、会社から「君はこの会社に不可欠な人財だ」といわれる客観的理由を持つべきというものです。
その視点は2つで、
① 会社における自分自身の現在価値が、会社から「雇用継続」を求められるものであるか。
② 他社・他業種にも通用する能力を持ち、社外での市場価値を認められる人材であるか。
ということです。
①の視点は、会社から「君、いらない」と言われないのが最低条件であり、②の視点は「君なら是非うちの会社に来てほしい」と他社から引っ張られるという、言わば「キャリアアップ転職能力」です。
我国でも1998年頃からこのエンプロイアビリティーという言葉が使われはじめましたが、その背景はバブル崩壊後の不況で業界の労連や大手労組までもが、このことを言いはじめたことが大きなポイントです。
「自分の雇用を自分で守れるだけの努力をしてくれなくては、労組としても面倒は見れないよ」ということです。
アーティストに例えるならば、与えられた舞台に相応しいパフォーマンスを果たし、自らの存在価値を確立し続けて、また次のもっと大きなステージに立つということがチャンスを活かすことです。
人財は「プロフェッショナル」として、プロ根性・プロ魂を持って自らの力量を磨き、企業が整備した環境・ステージの上で「顧客感動という成果」を創らなければならないのです。
つまり、顧客のニーズ変化を見逃さずフレキシブルな対応をしていくことで、Solution=問題解決型ビジネスを確立していくのです。
昨今、普段腕時計を使用しない人が増えていますが、概ねその理由は、「携帯電話の時刻表示で事足りる」ということです。
このことは、業界・カテゴリーの中の競合が変革しているということであり、カテゴリーの枠を越えた、思いもよらぬ新たなライバルの出現を意味するものです。
その時代変化を敏感に察知しなければ、「おかしい、、売れない、、頑張っているのに、、」ということになります。
新たなトレンド・ニーズの方向性を見出し、半歩先の手を打ちはじめることこそがビジネス・センスであり、それは、「ニーズ変化に対応する新たなメリットの準備」と表現してもいいでしょう。
過去の成功の上にあぐらをかいているとは言わないまでも、そこに危機感・問題意識を強く持たなければ、「変化=衰退=滅亡」ということになってしまうのです。
日常生活の中で、見過ごしがちな小さな現象を洞察する習慣を持っていれば、そのうちに必ず「?」(何となく違和感)が「!」(強い気づき)に変わる瞬間がやってくるものでしょう。
意識して新しい習慣を持つだけでも、あなたの「エンプロイアビリティー」を格段高める切っ掛けになるかも知れません。
2011.7.12 ビジネススキル研究所 鶴田 慎一 拝
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