先程、都内の講演先から帰ってきました。
学生への就職相談会での記念講演で、面接から入社・新人時代の心掛けなどについてお話をさせて頂きましたが、普段は滅多にない学生相手の講義ですが、彼らのフレッシュさが心地よい刺激をくれます。
これは毎年恒例となっているのですが、以前この学校で経営学の授業を持っていたこともあり、生徒たちにはとても思い入れがあります。
素晴らしい社会人になり、素敵な人生を生きてほしいものです。
先週は毎日指導先巡りで、毎日が「指導」と「移動」の繰り返しで目まぐるしい週でした。
私の発案の技術がめでたく特許申請となり、指導先の社長から、
「先生、社長賞出すね!」
「えっ?!社長賞って、社員だけが対象じゃないんですかー!やったー、嬉しいー!」
やはり、賞をもらうのは嬉しいものです。
このモチベーションが、また次のアイデアに繋がるのですね。
一昨日は、別の指導先の幹部と打ち合わせ方々、数年ぶりの人形町「玉ひで」へ行きました。
お昼の親子丼の行列が有名な店ですから、東京でない方もご存知の方も多いと思います。
宝暦10年(1760年)創業ですから、250年以上の超老舗です。
夜は「しゃも料理」のコースで、しゃもの味わいと太古の歴史にも舌鼓という感じでしょうか。
元々、将軍家に仕える御鷹匠で、将軍様の御前で格式高く包丁さばきを披露していたそうです。
「御鷹匠仕事」と呼ぶそうですが、放血なしで鳥を〆て、血を見せることなく直ちに骨と身に取り分け、肉に手を触れることなく薄く切る秘伝の包丁さばきだそうです。
明治時代に、鳥鍋の残りの割下に卵とじにしたのが、元祖「親子丼」なのです。
人形町という土地柄、兜町や日本橋の魚河岸にも近く、出前が大繁盛だったようです。
「汁掛け飯」というのは、あまり上品ではない食べ方とされていたため、親子丼は店では出さずに出前専門だったようです。
ところで本日のタイトル、「焦眉の急(しょうびのきゅう)」 とは、皆さんご存知の通り、目の前に差し迫った問題や危険を抱えていることを例えて言う中国の禅問答故事の言葉です。
火が目の前に迫っていて、もう眉毛が焦げるぞというほど近くにまで迫って、極めて危機的状況であることを言います。
しかし、その「切迫する事態」に対する感度や、価値観・使命感によっては、眉どころか「顔面焼け焦げて死に至る」こともあるのです。
単に個人差やレベル差ということでは済まされないのが、組織における「焦眉の急」への対処法です。
例えば、象徴的なのが「顧客からのクレーム」でしょう。
「約束の品質より劣る」「約束の納期に届かない」「約束のメンテナンスをしていない」「約束の-----」等々、その多くは「約束を果たせていないこと」で起こります。
まず最初の一報は、「電話」であることが多いものです。
この「クレーム第一報」の電話応対は、あなたの会社では確立されていますか?
会社によっては、「長い保留音」を聞かされた挙句にたらい回しということもあります。
ここから「クレーム」は「コンプレイン(苦情)」へと変化していくのです。
「クレーム」のうちはお客様もまだ、「何とかしてくれるはずだ」という「期待」を持っているものです。
しかし、「コンプレイン(苦情)」となれば、そこに「怒り」「嫌悪」「憎悪」がどんどん増幅されていき、冷静な話もできなくなるものです。
仮に「クレーム第一報」の電話応対は、的確・適切に上司や営業担当とすぐに連携をして、良い対応ができたとします。
それでも例えば製造業であれば、「クレーム第一報」はその日のうちに「製造現場」と「社長以下全役員・全幹部」に通達されなければなりません。
朝夕・時間外に関わらず、常にそれができている会社は「クレームによる損失最小化」が図られていることになります。
これが「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)の勘所ですから、交通安全の標語の如く「ホウレンソウに力を入れよう!」では、我々大人が横断歩道で手を挙げないことと同じになります。
まず「価値観教育のレベル」が問われます。
「クレーム報告を翌日回しにする」「バレるまで隠す」「こっそり自分一人で対処して、何もなかった顔をする」と、様々な対処をすることがあり得ますが、そのことが後で大変なコンプレインに繋がります。
たまたま上司が顧客に表敬訪問をして、
「お、遅いなー。今頃一週間前のことを謝りに来たのか?トロいねー、そんなんじゃお客さんを失うぞ。」
「えっ?!何かあったんですか?」
「まさか知らないで来たのか?報告はないのか?」とまくし立てられ、
「も、申し訳ありません。今日はこの近くにちょっと用がありまして、せっかくだからご挨拶をと、、、、」
これこれこういうクレームが発生して、対処がどうで、結末はこうだと詳しくお客様に説明され、呆然とする上司に、
「もういいよ、今回のことは俺の腹に収めるよ。ただし、即日担当を変えてくれ。彼は出禁にする。」
よろめくように帰っていく、上司の姿が見えてきますね。
いかにしっかりと「クレーム対応規定」をつくり、全社員の価値観の中に正直な心と正しい対処ということの重要性を根付かせるかです。
立派な「システム」があっても、心という「運用」に欠陥があっては機能しません。
「仏作って、魂入れず」という会社は意外に多いですね。
学力偏重や間違った能力主義の産物かも知れません。
例を挙げればキリがないのが、「クレーム対応」です。
無知でもダメで、知っていてもダメなことも多いのですから、「価値観」&「システム」&「運用」&「教育(共育)」に力を注がなくてはなりません。
その期の利益が跳ぶこともあれば、会社が跳ぶこともあるのです。
「焦眉の急」とは、死ぬほど急がなければ、死ぬかもしれない一大事なのです。
もう一度、今の対応がベストかどうか、チェックしてみてください。
2013.7.31. ビジネススキル研究所 鶴田 慎一 拝
軍鶏コースの締めの親子丼、シンプルであってもコクがあって、実に旨い。
しかし、コースの金額が少し高いな、、、。
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