ビジネススキル研究所公式ブログ

株式会社ビジネススキル研究所公式ブログ。鶴田 慎一 主宰。営業研修/ビジネス講演/社員教育/社員研修/方針発表会/各種講演に関する最新情報など。営業マインド強化合宿の情報も。公式Facebook

2013年01月

『 イノベーション --- 「智恵を絞ることを重視するのが乱世の時代の生き方」 』

さて先日の中小企業大学校:「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」講座、歴史作家の加来耕三氏とのシナジー・プログラムは、講義以外にも前夜のお酒やお昼ご飯の時の歴史談義も大変楽しいものでした。
加来氏曰く、「歴史的視点で見れば、二度あることは三度ある。一度もないことは、二度あるはずがない。」
「今の日本は大正末期から昭和初期の状況に極似している。どうしようもない状態の国は、戦争を選択するのが歴史の事実。」
「だから、ダメな政治家が溢れている今、日本は憲法改正すべきではない。」
「日本が戦争に懲りていると決めつけてはいけない」

確かに我が国のみならず、世界はそんな歴史を繰り返してきましたね。
しかし、本当に「賢者は歴史に学ぶ」ということができれば、「永遠の敗戦国という弱い国ではなく、戦わずして勝つことができる戦略的国家デザイン」を考えることができる気がします。
だから私は「平和を守ること」を確約した上で、憲法改正すべしと考えています。
安部政権はまず憲法96条改正、つまり1)衆参両院全議員の2/3の賛成を得て発議、2)その上で国民投票での過半数という憲法改正条項の変更から始めようとしています。
この条項はマッカーサーによって、敗戦後の日本がマッカーサー憲法を改正できないようにと定めたものでした。
ところが、その後の朝鮮戦争などで不都合になり、慌てて警察予備隊を組織させ、後に自衛隊へという国際法上は「明らかな軍隊」を組織させたのです。
解釈によって憲法の意味合いを変えていくというイレギュラーな対応は、もうやめるべきだと思いますし、現代社会にそぐわないものは変更して然るべきです。

今こそ日本人は、「自衛」ということの何たるかを考えないといけないと、痛切に感じています。

様々な思想・信条の方がいらっしゃるので、これ以上詳しく持論を展開するつもりはありませんが、「インディペンデント・カントリーの絶対的権利である自衛権」はうやむやにすべきではないと思います。
ましてや大戦後の憲法改正は、ご存知の通り日本ではゼロです。
アメリカは6回の憲法改正、フランス23回、ドイツ57回、イタリア14回、カナダ18回、スイス・中国・韓国9回、、、これが世界の常識です。
これは加来さんとまた近々東京で一杯やる約束をしているので、色々な角度から議論をしてみたいですね。

「そんな議論しながら酒なんか飲んでいたら、喧嘩になるんじゃない?」とお感じになる方もいらっしゃるかも知れませんが、議論は和気あいあいです。
何故か?!
それは「治世の論理」であれば、治世の安定の時代は秩序の安定による社会進化がなされますが、そこで優先される知識・能力・批判・建前・キレイ事によって感情的衝突を起こすからです。
乱世の激変期においては秩序崩壊が起こり、ルール・常識・制度は変化して、価値観・本質・真実・本物・本音の中から「共感性」を探っていくことになります。
つまり、多少思考アプローチの違いがあっても、「目的意識」が共有されていれば、「違い」を尊重し合えるのです。

革新だ、イノベーションだとは言うものの、何をすればいいのか解らないから、学校教育的に「知識」「ノウハウ」そして「答え」を教えてほしいとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
「頑張っているけど、上手くいかない人」であることが多いように思えるのは、「覚えること」に偏重して「思考すること」が弱くなっているからではないでしょうか。
この「治世のスタンス」では知識・能力偏重の時代から脱却できません。
勿論多くを知ることには価値がありますが、思想・哲学・価値観に共鳴して、智恵を絞ることを重視するのが乱世の時代の生き方だと思います。

企業においても、教えて・育てる「教育」から、会社で共有する価値観に賛同して共に育つ「共育」に変わっていく必要があります。
価値観、つまり「何を大切に想い、どんなことを重視するのか」、そこがはっきりすると迷いや悩みから解放されます。
今、問題になっている学校での教師による傷害事件(体罰問題とマスコミは言いますが)も、価値観というもので考えれば一発回答ではないでしょうか。
「教育の目的は何だったのか」という目的が失われて、目先のことに皆が目を向けてしまっているから、TV局も「反対派・賛成派に分かれて議論するような馬鹿げた番組」を作っています。
議論の余地のないことを、「なぜ正しい・なぜ間違い」と言えなくなった社会を早く立て直す必要があります。

知識・能力・効率性一辺倒で打算に塗れて、全てが「指導者のプライドや学校の名声のため」であれば、「教育」は「共育」になれません。
本質・真実・本物・本音にもっとターゲティングすべきです。
正しい価値観には、「共感性」が高まります。
「目的意識」が欠落して、ビジョンも目先のことになり、「目標」だけがクローズアップした時に、価値観が抜け落ちて「手段の目的化」が起きてしまいます。
まず教育者が「治世のスタンス」からの脱却を果たさなければ、素晴らしい・新しい日本国を担う子供たちを輩出していくことはできません。
それが教育の「目的」だったはずです。

上司も然りです。
会社の素晴らしい将来を担い手となる部下たちを育てるために、「治世のスタンス」からの脱却を果たしていただきたいと願います。
「社会」も「会社」もここからイノベーションを起こすことです。
「智恵による価値創造の経済」が、今の日本企業に求められていることだと思います。
価値観確立からMISSION確立へ。
そして使命感確立のためにCOMMITMENTするのです。
以前にも書いた気がしますが、仕事のスキルはこの「志」で磨かれるということです。
「幹部研修」でも「営業研修」でも「新人研修」でも、このポイントを外した知識偏重教育・建前キレイ事教育に明け暮れていては、未来は暗くなるはずです。

易学的に見ても、乱世はあと30年あまり続くのです。
「価値創造のために智恵を絞る研修」、それは換言すれば、「価値観共有マーケティング研修」なのです。
「答を教えろ!」とおっしゃる方は、初めから読み直して、少し立ち止まって考えてみてください。
「事例を教えて」というリクエストに応えることも吝かではないですし、昨日もある会社で「価値観共有マーケティング研修」をやってきました。
既にある業界の日本ナンバーワン企業ですが、そんなことに安寧を覚えるより目指す頂きの高さを再確認して、「圧倒的差別的優位性」を築き上げて、日本社会に貢献し続けるというものです。
共に考え、共に育ち、共に新たな価値創造を進める「価値観共有マーケティング研修」を、ご検討したいというお考えの方は是非ご一報ください。

2013.1.29.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

先週見かけた「午後1時前の人形町の街灯」です。価値観を研ぎ澄ませれば、こんな時間に灯っているはずがないのですが、、。
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『 名言! 前進できぬ駒はない 』

先週の突然の大雪には、流石にびっくりしました。
ちょうど翌日が都内での研修だったので、「車で行くのはやめよう」と即断即決できて助かったような気もしますが、、。
それでも翌日はまだまだ歩道上に山のような残雪で、転ばないようにドキドキしながら代々木の会場へ向かいました。
今更ながらですが、特に東京は雪に弱いですね。
数年前に大晦日の昼間に雪が積もって、車で1時間の場所まで8時間掛かってヘトヘトになったことがあったのを思い出しますが、今回はスキーに行っていた友人が、「早めに帰ろうと思って、朝出たのに9時間掛かって帰ったよー」と嘆いていました。

年中様々な移動手段での出張が続く私としては、雪の心配が一息つくかという時に、今度はボーイング787の頻発する故障の問題。
まだ世界中で50機ほどとは言え、B787の全ての運行を停止して調査をしています。
以前「ハインリッヒの法則」で書いたように、このレベルのトラブルの時にこそ徹底解明と改善を行わなければ、重大な事故を未然に防ぐことはできません。

18日は中小企業大学校の「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」の講座のため、羽田から鹿児島へ飛びましたが、前日B787の欠航続出のニュースを見てネットで確認すると、私の便はB787、、、、。
「おいおい、勘弁してくれよー」と調べてみると、「機材変更でフライト」との表示で、ホッと胸を撫で下ろしました。
19日に仕事を終えて、帰りの便もB787の予定でしたが、こちらも「B777に機材変更でフライト」ということで、冷や冷やしながらも何とか無事に帰りました。

「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」講座は、歴史作家の加来耕三氏とのペアでやりました。
前日の夜、加来さんや大学校の方と飲んだ球磨焼酎と天然ものの鰻の旨かったこと、そこに大盛り上がりの歴史談義も加わり、実に楽しい時を過ごしました。
ご参加者はほとんどが経営者で、こちらが思っていた以上に真剣且つしっかりした問題意識を持ってのご参加で、休憩や講義後に色々な質問やご相談を頂きました。
流石、こういうタイトル・コンテンツの講座に申し込まれる方、企画を考える方は「意識レベルが高い」というのが率直な印象です。
今日は先に書きたいことがありますので、また次の機会にでも書きたいと思いますが、このテーマはこの「混迷を極める乱世には絶対に必要な経営幹部の研修テーマ」だと確信しました。


さて、先程のB787のことをはじめ、飛行機や車や機械など、あらゆるものがハイテク化していることで高効率を実現したり、飛躍的に性能が高まったりしていますが、その代償として故障の時には原因究明が難しいということにもなります。
これも10年程前の古い話ですが、箱根での仕事の帰り道、車にはまだ4分の1位はガソリンが残っていたのに、走行中にエンジンが突然「ストン」と止まってしまい、近くの修理工の人に見てもらいました。
彼はざっと見て、「あ、これは車じゃなくて、コンピューターを直せる人じゃなきゃ無理ですよ」と一言。
箱根で車を置き去りにして、レンタカーで帰りましたが、後日車屋さんからやはり「すいません、コンピューターが壊れてましたので、取り替えました」と報告。
もはや修理ではなく、積み替えです。
ホント、便利なものほどトラブルが厄介です。



話は変わり、1月12日(土)の日本経済新聞のNIKKEIプラス1の何でもランキングに、『覚えておきたい「現代の名言」』というのがありました。
「座右の銘にしたいのは」「落ち込んだとき元気になるには」「仕事にやる気が湧いてくるのは」と、3つのカテゴリーに分けられ、それぞれのベスト10が出ていました。

各カテゴリーの1位をご紹介すると、
「座右の銘にしたいのは」 --- 『強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ』(元サッカー西ドイツ代表のフランツ・ベッケンバウアー氏)
「落ち込んだとき元気になるには」 --- 『人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている』(作家の伊集院静氏)
「仕事にやる気が湧いてくるのは」 --- 『前進できぬ駒はない』(棋士の中原誠氏)


それぞれの1位以外にも腹に落ちるものがたくさんありましたが、将棋の世界で一時代を築いた中原誠氏の『前進できぬ駒はない』は、この混迷した時代には名言中の名言だと思います!
今、大乱世の真っ只中を生きている私たちは、ふと弱気になった時に、前に進めなくなったような気分に陥る時もありますね。
そんな時にこの言葉は、「飛車・角でなくても歩でいい!明日<と金>になるために、今日も一歩だけ進んでやる!」という勇気を与えてくれます。

大学院を出て博士号を取っても、学校にも残れず正規雇用の仕事にもありつけないという人が、半数近くいるそうです。
弁護士なども同様に、「イソ弁」にも「ノキ弁」にもなれずという人がたくさんいるようです。
博士も弁護士を目指した人も、「飛車・角になる、なれる」と思って、必死で勉強も努力もしてきたはずです。
この努力する能力こそ、企業でとんでもなく活躍できるだけの下地を作ったことになります。
ですから、想定外だった企業の「歩」から始めて<と金>になって進み、飛車・角に化ける!という選択もあると思います。

今回の中小企業大学校の「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」講座は、「乱世に生きているということは」ということから、「乱世に勝ち残る智恵」というお話をさせて頂きました。
「知識偏重の治世の建前」から脱却して、「思想・哲学・価値観の共有と振り絞る智恵」の時代の生き方の確立、そしてこの時代に相応しい「新しい日本型経営」の確立が急務です。
また、書きたいと思います。
1年で一番寒い時期になりました。
お風邪など召されませんように。

2013.1.20. ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

『 驕れば、運命の虎の尾を踏むが如し 』

昨夜、新年の初出張から帰ってきました。
今年は元旦の朝から始動しているので、あまりお正月気分はありませんでした。

元旦に、以前私の研修を受講していただいたMさんから、以下のメールを頂きまして、
『新年、明けましておめでとうございます。
新年から全力投球されている由、当方のなまけぶりを反省しております。
ウチの業界は期待といいますか、思惑だけで株価上昇しているとしか思われませんが、社会的使命を全うすべく努力していきたいと思います。
これから平安神宮に初詣に行ってまいります。
本年も宜しくお願い申し上げます。』
そして参拝後に、
『平安神宮のおみくじは、末吉というびみょ~な結果でした。「急いては事を仕損じる」という御告げでしたが、今年は、急く仕事が山積みです。』
という結果報告。
平安神宮に初詣に行けるとは、とても雅な正月ですねー。
何たって社の格は確か、「神宮」「大社」「神社」の順だったと記憶があります。


「まあ、神様に感謝の祈りを捧げるのに、格なんて気にすることもない」と、私は除夜の鐘の後にテキスト書きを中断して、近くの椙森(すぎもり)神社にお詣りしてきました。
私は「おみくじ」は引かない、「占い」は頼まない、朝のテレビ番組の「今日の運勢」のコーナーになるとチャンネルを変えるというのが、長年の慣わしになっています。
何か言われると気になって仕方ないという小心者であり、その反面、運命は己の力で切り拓くものという信念も少し働いているような、、。
数年来私は、どこにお詣りしても「個人的なお願いはしない」で、「世界が平和で全人類に幸せな暮らしがもたらされますように。」と祈ることに決めています。
我田引水ばかり考えている人は、返って運気を落とすような気がします。


「おみくじ」で思い出しましたが、子供の頃に親戚のおばさんから「慎ちゃん、おみくじって中吉か末吉位がいいのよ。だって、大吉が一番たくさん入っていて、中吉か末吉位の方がレアなのよ。」
という話を聞かされながら、二人で北九州の神社にお詣りに行きました。
そして、忘れもしない「おばちゃん、こんなの出たよー。」と、「おみくじ」をおばさんに見せたら、彼女は絶句して固まりました。
そう、それは二人ともが人生で初めて見た「凶」だったのです。
「中吉・末吉よりもっとレアだから、凄いよこれ。」とおばさんは、必死で「何とかしなきゃ」となだめてくれました。
あれから半世紀近く経つのに、まだ戒めの言葉を覚えています。
『 虎の尾を踏むが如し 』


「こりゃ、気を付けなきゃな。」という気持ちが働き続けたのか、その年にはそう悪いことは起きなかった気がします。
要するに「調子に乗り過ぎるとロクなことにならない」ということですし、人間は「驕れば、運命の虎の尾を踏む」ということでしょう。
幹部研修や営業研修などでもよくお話するのですが、「人間は驕り昂ぶれば、自ら墓穴を掘り身を滅ぼす」ということも歴史が証明しているところです。
人間は「調子に乗り過ぎる」と、必ず判断が甘くなるものです。
「ま、こんな準備でいいだろう」とか、裏付けもなく「きっと何とかなるだろう」という過剰な楽観です。
『虎の尾を踏むが如し』、今年もというか、ずっと戒めにしておきたいと思います。



新年になって、多くの方から年賀状やメールを頂きましたが、その中に先程登場した彼の会社の営業部長からもメールをいただきました。
『昨年4月より東京から大阪に戻り、PFI事業の営業に取り組んでいます。研修でお教えいただいたことを実践に反映しようと努力しています。』
とありました。
深夜に失礼だとは思いながら、一言言いたくて、
『PFI、是非とも思い切り伸ばしてください!国も地方も、相当な予算削減効果をもたらしますし、B/Cも飛躍的に高まりますよね!日本のために、巨大な使命感で推進してください。』
とメール返信しました。

B/Cは以前書きましたからここでは省くとして、PFI事業とは正式名称ではPrivate Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)と言います。

JRやNTTのような民営化とは違い、あくまで地方公共団体が発注者となり、民間資金と経営能力・技術やノウハウを活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法の一つです。
PFIは、1990年代にイギリスで「官民協同で効率的かつ効果的に質の高い公共サービス提供を実現する」という、PPP(Public Private Partnership)、つまり官民連携の概念から生まれた手法です。

日本でも平成11年7月にPFI法が制定されて、この法律に準拠したPFI事業が実施できるようになりました。
内閣府にPFI事業推進室がありますが、今後は政策的にドンドン進めてほしいものであり、日本経済再生のために大変価値のあるものです。
受注する民間企業としても「仕事の受注が税金の無駄遣い」にならず、国や地方のために大きな「お役立ち」になるのですから、今回の景気刺激策に多く取り入れてほしいものです。
各省庁も東日本大震災復興資金を色々なこじ付けをして、流用することに頭を使うのではなく、地方公共団体自体の取組に併せて民間の資金・経営能力・技術力を最大活用してほしいです。
被災地復興モデルとなるような、具体的なPFI事業案件を増やしていただければ、きっと復興にも加速がつくと思います。


年頭に改めて、皆さんもご自分の「仕事の意味と意義」を再確認して、しっかり前を向いて頑張って頂きたいと思います。
自信を持って仕事を推進するためには、自らの「仕事の意味と意義」をブラッシュアップして、「価値観と使命感」の中に叩き込むことです。
これなしの自信は「自惚れ」でしかなく、「驕れば、運命の虎の尾を踏む」ということになりますから、自戒しておきましょう。

もう松の内も明けて(地域によっては15日までのようですが)、いよいよ仕事も本格的スタートだと思います。
明るく前向きな一年を創ってまいりましょう!


2013.1.9.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

東京駅丸の内駅舎、とても素敵になりましたね。
東京駅

『 新年を迎え、野武士の如く「2013年の日本経済」を考える 』

明けましておめでとうございます
旧年中は誠にお世話になり、厚く御礼申し上げます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


さて、2012年の12月28日の大納会では日経平均株価は4日続伸となり、終値は前日比72円20銭高の1万0395円18銭となりました。
13年振りの大納会での「年初来高値更新」は、円安を好感してのものでした。
野田さんが「嘘つき呼ばわり」に耐えきれず、党首討論で衆院解散を明らかにしてから、「アベノミックスに期待が高まった」「自公政権によって、日銀に大きな金融緩和圧力が掛かる」というのが大方の見方です。
経済再生への期待が、年末相場に反映しているところです。


以前書かせて頂いたことがある真田幸光先生(淑徳大学ビジネス学部教授・同学部長)と12月27日にお会いして、現在の世界経済やアジア情勢、日本経済の2013年以降の見通し等について意見交換させて頂くことができました。
そう、あの「真田と上杉の血を受け継ぐ方」で、思想的健全性といいグローバル経済を洞察する見識といい、人間性も文句なしの素晴らしい方です。
マシンガン・トークのやり取りで色々なお話をさせて頂きましたが、二人の意見はほとんど完全一致でしたので、「嬉しい」反面、「先行き不安が増幅」したような、、。
一言で言えば、「日本経済も円も日本国債も極めて危うい状況」になっているということです。


「欧州債務問題の収束期待」や「世界景気の改善期待」で、12年の世界の主要株価は軒並み上昇していますが、海外の機関投資家が日本株の持ち高を一気に増やしているという状況から、「上げておいて売り抜かれる」ということに警戒が必要です。
ある意味で投機筋の仕手戦のように、海外の機関投資家が日本に資金を集め続けています。
円安・株高の基調は、しばらくの間は日本経済の追い風になっていくでしょうが、私たち二人の共通見解は「世界経済も日本経済もスクラップ&ビルドにならざるを得なくなる」ということです。
2012年は世界の主要株価と比較しても、不振だった日経平均が健闘しましたが、2011年末が8455円だったのですから、単に日経平均が低過ぎたということで、「年間上昇率が高くなって当然」とも言えるでしょう。
言わば、「実弾発射前に<期待>で売れている」訳ですから、そういつまでも<期待>だけでは長続きしません。
願わくば「円安90円台後半安定」、「3桁突破は行き過ぎ」で、後で起こる過剰な円安の方が怖い。


背景にある「ジャブジャブの金融緩和」と「急激な円安進行」、「安倍内閣による過剰な経済対策」には極めて危惧を感じるところです。
国に1000兆円の借金があっても、国民の貯蓄と長年の貿易黒字によって蓄積された海外純資産もあり、まだ500兆円は余力があるなんてことをおっしゃる方もいますが、「歴史的愚策」とならないことを祈ります。
「そもそも『インフレターゲット』なんてどこの国でもやっていることで、珍しくもない」とおっしゃる政治家や評論家もいらっしゃいますが、これは「大間違い」か「大嘘つき」のどちらかです。
10%を超えるようなインフレに苦しみながら、せめて2%位にしたいという下げに向かう『インフレターゲット』はありますが、デフレ脱却のために上げる『インフレターゲット』というのは例のないものです。
「インフレ進行」→「円下落」→「円売り」→「国債未達・日銀引き受け」→「紙幣ばらまき」→「貨幣価値急落・国債急落」→「ハイパーインフレ」→「財政破綻」、という巨大なリスクに対する「負のシナリオへの対策」をあまり耳にしません。
とすれば、極めて危うい政策なのです。
ハイパーインフレにならないように、「マッチポンプ政策」をやるというのなら、もっと厳密に「マッチの量(円安誘導)」と「ポンプの性能(ハイパーインフレ防止策)」は、多くの識者を交えて大議論すべきところでしょう。


確かに、過剰な円高は好ましからざることですし、円高から円安基調に転じたことで株価上昇となり、相対的に企業価値が高まり日本株の割安感が出ています。
しかし、世界中が金融緩和を進め、世界中が自国通貨安を誘導しているということは、貨幣価値の大変動を予感させます。
マネタリーベースで欧州2倍、米国3倍、イギリス5倍などと言われてもいますが、当然各国の「ジャブジャブ」に歩調を合わせていかなければ円高進行になりますから、慎重に緩和を進めて頂きたいところです。

世界には6000兆円を超えると言われる「ホームレスマネー」があり、これが過剰流動性の原因となっていました。
また「行き過ぎた信用創造」によって、マネーサプライ(通貨供給量)が増加するのも、更に「ホームレスマネー膨張」の誘因となるでしょう。
この「ホームレスマネー」は、国境を越えて儲かるところに移動し、売り抜いたらまた次の場所を探すのです。
海外投資家の「ホームレスマネー」が膨張を続けて、底打ち感のある日本株買いが進むという動きの連想ゲームはできます。
この動きが続けば、当面の需給面ではプラスに働くとは言え、経済指標や企業業績などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の裏付けはまだまだ乏しく、足元の株高は期待先行・需給主導ということでしょう。
今後、安倍内閣の政策が「やり過ぎ」「お調子乗り」となったら、日本株・日本国債が売り浴びせられるという局面も出てくるという危惧を持ちます。
未だに世界の基軸通貨となっている「ドル」は刷りまくられていますが、すでにドルもユーロも危機的な状況ですから、通貨暴落は大変な注意点です。
ハードカレンシー(国際決済通貨)の代表のドルは、世界の貿易・外貨準備・国際債の多くを占めていますから、刷りまくられても薄まりますが、円もハードカレンシーではありますが、供給過剰になった円はなかなか薄まりません。
米国債の買い手の中国の出方によっては、「米国債のFRB買い」が生じて、財政の崖から落ちてしまうことも無きにしも非ずだと思います。
少し日経平均が上げたと一時的な景況感に糠喜びせず、沈着冷静に注視していかなければなりません。


さて、新年早々暗くなりそうですので、話題を変えて、
年末にN社幹部のW氏より、清酒「黒松 野武士」(正木正光酒造場 愛媛県北宇和郡松丸町)をいただきました。
N社社長の奥様のご実家だそうで、W氏もいつも取り寄せして愛飲しておられるそうです。
「よし、大晦日はこれを熱燗で!」と、すぐには飲まずに我慢して、「一献入魂」でいただきましたが、「お世辞抜き、実に旨い!」
またこの「野武士」というフレーズが、激動の中を荒々しく逞しく生きているイメージで実にいいし、ラベルの字体・兜のデザインがビシッと決まっています。

「野武士」という言葉の元の意味は、「山野で野宿しながら修行する山伏(野伏)」や「山野に隠れ伏す伏兵」、「落武者を襲った武装農民集団」などがあります。
戦国大名はこのゲリラ戦を得意とする野武士を組織的軍隊に鍛え上げ、敵への夜襲や追撃に活用したのでした。

ちょっと「経営戦略的」「営業研修的」に置き換えてみると、なかなか厳しい雇用環境の中で「人生の逆転勝利」に燃える人財を発掘して、仮に業界未経験者であっても「鍛え直して、成果を上げる戦術を授ける」ということにもなりましょう。

また、この野武士は、後に「忍者」となっていった者も多くいたと言われています。
資質ある者は「磨けば開花する」ということですし、社員教育・営業研修などでもこのポイントは着目点です。

震災で雇用が大打撃を受けた今だからこそ、かつて世界中が見習った「日本型経営モデル」を再構築すべき時ですし、「日本型家族的経営を再評価」して、あらたなパワーを生み出していきましょう!
強い日本を取り戻すのは、政治家任せではダメです!
我々が「日本型経営モデル」を、もう一度世界に示していきましょう!
と、今月の中小企業大学校の講義や新年賀詞交歓会の記念講演などで、そんなお話をしたいと思っています。

中小企業大学校では、前半が「歴史から学ぶ日本人の経営力」(加来耕三氏:歴史家・作家)で、後半が「改めて日本型経営を学ぶ」(鶴田担当)です。
今年は年末年始返上で、3日までに8本の研修や講演のテキストを書かねばならないことを思い出しました、、、残りあと6本、、今日はこの辺にして、野武士の如く死にもの狂いで書きたいと思います。


2013年初春月元旦  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一 拝

清酒「黒松 野武士」

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