さて先日の中小企業大学校:「歴史に学ぶ日本型経営の真髄」講座、歴史作家の加来耕三氏とのシナジー・プログラムは、講義以外にも前夜のお酒やお昼ご飯の時の歴史談義も大変楽しいものでした。
加来氏曰く、「歴史的視点で見れば、二度あることは三度ある。一度もないことは、二度あるはずがない。」
「今の日本は大正末期から昭和初期の状況に極似している。どうしようもない状態の国は、戦争を選択するのが歴史の事実。」
「だから、ダメな政治家が溢れている今、日本は憲法改正すべきではない。」
「日本が戦争に懲りていると決めつけてはいけない」
確かに我が国のみならず、世界はそんな歴史を繰り返してきましたね。
しかし、本当に「賢者は歴史に学ぶ」ということができれば、「永遠の敗戦国という弱い国ではなく、戦わずして勝つことができる戦略的国家デザイン」を考えることができる気がします。
だから私は「平和を守ること」を確約した上で、憲法改正すべしと考えています。
安部政権はまず憲法96条改正、つまり1)衆参両院全議員の2/3の賛成を得て発議、2)その上で国民投票での過半数という憲法改正条項の変更から始めようとしています。
この条項はマッカーサーによって、敗戦後の日本がマッカーサー憲法を改正できないようにと定めたものでした。
ところが、その後の朝鮮戦争などで不都合になり、慌てて警察予備隊を組織させ、後に自衛隊へという国際法上は「明らかな軍隊」を組織させたのです。
解釈によって憲法の意味合いを変えていくというイレギュラーな対応は、もうやめるべきだと思いますし、現代社会にそぐわないものは変更して然るべきです。
今こそ日本人は、「自衛」ということの何たるかを考えないといけないと、痛切に感じています。
様々な思想・信条の方がいらっしゃるので、これ以上詳しく持論を展開するつもりはありませんが、「インディペンデント・カントリーの絶対的権利である自衛権」はうやむやにすべきではないと思います。
ましてや大戦後の憲法改正は、ご存知の通り日本ではゼロです。
アメリカは6回の憲法改正、フランス23回、ドイツ57回、イタリア14回、カナダ18回、スイス・中国・韓国9回、、、これが世界の常識です。
これは加来さんとまた近々東京で一杯やる約束をしているので、色々な角度から議論をしてみたいですね。
「そんな議論しながら酒なんか飲んでいたら、喧嘩になるんじゃない?」とお感じになる方もいらっしゃるかも知れませんが、議論は和気あいあいです。
何故か?!
それは「治世の論理」であれば、治世の安定の時代は秩序の安定による社会進化がなされますが、そこで優先される知識・能力・批判・建前・キレイ事によって感情的衝突を起こすからです。
乱世の激変期においては秩序崩壊が起こり、ルール・常識・制度は変化して、価値観・本質・真実・本物・本音の中から「共感性」を探っていくことになります。
つまり、多少思考アプローチの違いがあっても、「目的意識」が共有されていれば、「違い」を尊重し合えるのです。
革新だ、イノベーションだとは言うものの、何をすればいいのか解らないから、学校教育的に「知識」「ノウハウ」そして「答え」を教えてほしいとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
「頑張っているけど、上手くいかない人」であることが多いように思えるのは、「覚えること」に偏重して「思考すること」が弱くなっているからではないでしょうか。
この「治世のスタンス」では知識・能力偏重の時代から脱却できません。
勿論多くを知ることには価値がありますが、思想・哲学・価値観に共鳴して、智恵を絞ることを重視するのが乱世の時代の生き方だと思います。
企業においても、教えて・育てる「教育」から、会社で共有する価値観に賛同して共に育つ「共育」に変わっていく必要があります。
価値観、つまり「何を大切に想い、どんなことを重視するのか」、そこがはっきりすると迷いや悩みから解放されます。
今、問題になっている学校での教師による傷害事件(体罰問題とマスコミは言いますが)も、価値観というもので考えれば一発回答ではないでしょうか。
「教育の目的は何だったのか」という目的が失われて、目先のことに皆が目を向けてしまっているから、TV局も「反対派・賛成派に分かれて議論するような馬鹿げた番組」を作っています。
議論の余地のないことを、「なぜ正しい・なぜ間違い」と言えなくなった社会を早く立て直す必要があります。
知識・能力・効率性一辺倒で打算に塗れて、全てが「指導者のプライドや学校の名声のため」であれば、「教育」は「共育」になれません。
本質・真実・本物・本音にもっとターゲティングすべきです。
正しい価値観には、「共感性」が高まります。
「目的意識」が欠落して、ビジョンも目先のことになり、「目標」だけがクローズアップした時に、価値観が抜け落ちて「手段の目的化」が起きてしまいます。
まず教育者が「治世のスタンス」からの脱却を果たさなければ、素晴らしい・新しい日本国を担う子供たちを輩出していくことはできません。
それが教育の「目的」だったはずです。
上司も然りです。
会社の素晴らしい将来を担い手となる部下たちを育てるために、「治世のスタンス」からの脱却を果たしていただきたいと願います。
「社会」も「会社」もここからイノベーションを起こすことです。
「智恵による価値創造の経済」が、今の日本企業に求められていることだと思います。
価値観確立からMISSION確立へ。
そして使命感確立のためにCOMMITMENTするのです。
以前にも書いた気がしますが、仕事のスキルはこの「志」で磨かれるということです。
「幹部研修」でも「営業研修」でも「新人研修」でも、このポイントを外した知識偏重教育・建前キレイ事教育に明け暮れていては、未来は暗くなるはずです。
易学的に見ても、乱世はあと30年あまり続くのです。
「価値創造のために智恵を絞る研修」、それは換言すれば、「価値観共有マーケティング研修」なのです。
「答を教えろ!」とおっしゃる方は、初めから読み直して、少し立ち止まって考えてみてください。
「事例を教えて」というリクエストに応えることも吝かではないですし、昨日もある会社で「価値観共有マーケティング研修」をやってきました。
既にある業界の日本ナンバーワン企業ですが、そんなことに安寧を覚えるより目指す頂きの高さを再確認して、「圧倒的差別的優位性」を築き上げて、日本社会に貢献し続けるというものです。
共に考え、共に育ち、共に新たな価値創造を進める「価値観共有マーケティング研修」を、ご検討したいというお考えの方は是非ご一報ください。
2013.1.29. ビジネススキル研究所 鶴田 慎一 拝