ビジネススキル研究所公式ブログ

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2012年07月

「国士」=「憂国の士」

「是非、次回にでもご紹介したいと思います。」と前回書いたお奨めの一冊、㈱アドフィットの加盟企業S社のF常務から頂き、その夜一気読みした本。

それは7月4日に出版された、高橋佳子さん著「彼の地へ~3.11からのメッセージ~」(三宝出版)です。

震災直後から一年が過ぎ、そして間もなく一年半となろうとしている今、もう一度しっかりとこの事実と向き合い、私たちが「目指す国」「到達したい境地」「創り上げたい社会」を考えようというものです。

この本を下さったS社のF常務ご自身も被災者のお一人で、お母様が津波に流されてなかなか見つからずに苦悶し、また宮古では営業所が流され、社員にも犠牲者が出ています。

この本は多くの詩と写真で構成されていて、その一つ一つが私たちの「価値観への問い掛け」を感じます。

「目指す国」「到達したい境地」「創り上げたい社会」 --- どうすればいいのかを考える時、現代人は「ノウハウ・ハウツー」に頼ろうとします。

全否定はしないまでも、どんな価値観でどんな思考回路を巡らせ、どんな言葉とどんな行動で、その「彼の地」へ向かうのかが『未来への道筋』を創るのだと思います。


福島の三春町の咲き乱れた枝垂れ桜の写真に添えられた一篇をご紹介しますので、後は是非とも本を手にしてください。

他も素晴らしい詩ばかりです。

【 今だけではなく        十年後を考えよ。
    明日だけではなく     百年後を想え。

   一時なら     嘘で欺くこともできる。
   一時なら     金で味方も増えるだろう。
   一時なら     力にまかせて好きにできる。
   一時なら     悪政だって栄えるだろう。

  
   しかし                長くは続かない。
   永遠の流れに     残るものはない。
   時は厳正に        真価を質(ただ)すのだ。

   目の前の一瞬を     人は生きる。
   でもそれは            永遠の一部である。 】



ところで皆さんもそうでしょうが、毎年この時期を迎える度に「終戦記念日」=「太平洋戦争終結」の報道が多くなり、1945年8月15日正午のラジオから流れた昭和天皇の肉声が象徴的で、悲惨な戦争の悪夢が想起されると共に、歴史的過ちへの悔恨の情が湧いてきます。

あの悲惨な敗戦から67年が経っても尚、未だ悲しい想いを甦らせている方もまだまだ多くいます。

今後も時を刻み、全ての日本人が戦後生まれという時代が来ますが、「二度と起こしても、巻き込まれてもいけないのが戦争」だということを、深く永く後世に伝えていかなければならないと思います。



1945年7月26日、ポツダム宣言が発表され、日本は一旦これを「黙殺する」と声明、ソ連に対して和平斡旋を依頼しました。

ところが海外では、「黙殺」は「無視」と訳されて報道、ついに米軍は8月6日広島・9日長崎に原爆を投下しました。

「無言のままで取り合わないこと」が黙殺ですが、「問題にせず無視すること」とも取られる訳ですから、我々の日常のコミュニケーションも≪大事なことこそ100%の伝え方≫をしなければなりませんね。


和平斡旋を頼んだはずのソ連は8月8日深夜に突如、日ソ不可侵条約(日ソ中立条約)を破って「日本がポツダム宣言を拒否したため連合国の参戦要請を受けた」として宣戦を布告、9日午前零時をもって戦闘を開始、南樺太・千島列島および満州国・朝鮮半島北部等へ侵攻したのです。

8月15日に、日本が無条件降伏を受け入れたのにもかかわらず、ソ連軍は侵攻を続けて、8月28日から9月5日にかけて北方領土に上陸し、占領しました。

皆様ご存知の通り、現在に至るまでソ連から継承したロシアが、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の島々、すなわち北方領土の実効支配を継続しています。

竹島問題と言い、北方領土と言い、これらの領土問題は日本が永年に亘り返還を求めているにも関わらず解決していません。

このままでは、尖閣諸島も中国が上陸作戦(漁船に見せかけて)を展開して、実効支配を狙うというのも十分あり得ることなのです。

Independent Country<独立国>とは、国際法上の能力を有する完全主権国家ですから、1日も早く本来の領土を確定・実効支配して、「本当の意味での戦後」にしなければならないと思います。



シリア問題では、国連安全保障理事会(安保理)で「国連シリア監視団(UNSMIS)の任期延長に関する欧米理事国提出の決議案」を採決しましたが、ロシアと中国が拒否権を行使して否決されました。

決議案採択から10日以内に、アサド政権が重火器の使用を停止し、都市部から軍を撤退させない場合には、同政権に制裁を科す内容も盛り込んでいたのですが、「国連憲章7章に基づく制裁は軍事行動に道を開きかねない」として中・露が拒否権を発動したのです。

国連安保理常任理事国の特権である「拒否権を発動」の中・露の本音は、武器輸出先であるシリア及びアサド政権を守ったということなのではないでしょうか。

国家・政府が国民を虐殺しているという異常事態のシリア情勢ですが、国際社会が一致した対応を取れないという安保理の機能不全がまたも露呈しました。

シリア情勢は一層混迷を深め、ひいては世界経済にもマイナス影響を及ぼすことになりそうです。



安全保障理事会は、実質的に国連主要機関の中で最大の権限を持っており、事実上・法的に国連加盟国を拘束する権限がある最高意思決定機関とも言われます。

国連憲章に定められている目的や権限は、「世界の平和と安全の維持に対して重大な責任を持つ」つまり「世界平和を守る主役」と規定され、常任理事国は第二次世界大戦に勝利した連合国の大国(米国・英国・ソ連→ロシア・中華民国→中国・フランス)であるとされています。

安保理は15の理事国で構成され、前述の米国・英国・ロシア・中国・フランスの5ヶ国が常任理事国で、その他の非常任理事国は地理的代表の原則に基づいて、2年の任期で選ばれ、我国も選ばれ続けています。

国連総会と違って、安保理は定期会合がない代わりに、いつでも招集することができるように、理事国は国連大使を常駐させるという義務を負っています。



1945年の大戦終結と共に生まれた国際連合には、国連憲章に未だ「敵国条項」を残しています。


日本は永年の間、「敵国である」と国連憲章に明記されたまま、世界トップクラスの負担金を拠出し続けています。

今では敵国の全てが国連に加盟し、国連憲章制定時とは大きく状況が変化し、事実上死文化した条項だと考えられている向きもありますが、明文化されているものは「黙殺」ではなく「削除」でなければ駄目です。

1995年に国連総会において、日本やドイツなどが「敵国条項を削除する決議案」が賛成多数によって採択されたのですが、「削除(Deletion)」に向けて作業を開始することは決議されたものの、批准手続きの複雑さで未だ実現していません。

戦後67年経って如実になっている国連安保理の機能不全は、未だ「戦勝国」と「戦敗国」の論理で運営していることの弊害なのではないでしょうか。

本当の意味での「世界全体最適」を、「正義」を持って推進する国連にしていかなければなりません。



国連憲章は国際条約の一つですから、採択が発効し正式改正されるためには、憲章108条の規定により、総会の構成国の3分の2の多数で採択、且つ、安全保障理事会の全常任理事国を含む国連加盟国の3分の2によって批准されることが必要です。

詳細な批准手続きは各国で異なる上に、通常は「批准には政府による最終確認と同意過程を経た上で、これを議会が承認する」といった状況から、採択を批准した国は効力発生に必要な数には及ばず、敵国条項は依然として憲章に残っているのです。


日本の政治の悪癖、「今は別に大きな問題もないから、とりあえず先送り」というのは、ここにもまた存在しています。


明治維新の志士たちのように、とはいかないでしょうが、日本に特に政治・行政そして企業の中に、もっと多くの「国士(こくし)」が必要です。

「国士」すなわち「憂国の士」、我が身をかえりみず国を想い、国家の将来を本気で考えている人物です。

簡単なことではないけれど、「憂国の士」に近づいていきたいと思えば、思想はレベルを上げ着実に歩を進めることになるのではないでしょうか。

まずは、「戦争」「大災害」「大事件」などの記憶を消さずに、私たちが「目指す国」「到達したい境地」「創り上げたい社会」について、たまにはじっくりと考えてみませんか?



2012.7.30.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

「自己変革」と「未来創造」

先週は、みずほ総合研究所主催の「営業スキル強化セミナー」を実施しました。


そして、立て続けに翌日から㈱アドフィットの2泊3日合同幹部研修を、都内のホテルで合宿で行いました。


㈱アドフィットは全国の介護関係の会社が、介護用品などの共同仕入れや教育研修を合同で行うために設立された会社です。


企業特性からも「ワールドカフェ・スタイル」のグループ・ワークがピッタリで、皆さんから出てくる意見やアイデアも全く途切れることなく、物凄く活気にあふれた3日間になりました。



業界内での協力・協働・協調---「Cooperation」、ベネフィット・メリットの共有と高度化---「Synergy」、正にこれが「21世紀の成功する企業連合の考え方」です。


「自分だけが良くなればいい」、「他人の不幸は蜜の味」というのでは、あまりに価値観のレベルが低いし、それを「無思想な人間」というのです。


どうやって業界全体を良くして、会社全体を良くして、そしてその前に「Employee Satisfaction=社員満足」の実現という本音の本音をしっかりと打ち出していくことです。


やはりセミナーの中で「!」を感じて、日常慣れ親しんだ仕事のスタイルを見直そうという、前向きな参加者が多かったのが印象的でした。


そうです!『他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる』という言葉の通りですね。



これは交流分析(Transactional Analysis = TA)を提唱した、精神科医エリック・バーン博士の言葉だと言われていますが、交流分析とは「人格」「個人の成長」「変化」を体系的に捉えた心理療法理論です。


また、それは「コミュニケーション理論」そのものであり、より良く生きるための自分の「人生シナリオ・ライティング」という側面もあります。



エゴグラムなどの経験をお持ちの方はご存知でしょうが、エリック・バーン博士は「Parent」「Adult」「Child」の3つの自我状態をモデル化しました。


「Parent」は親、無意識のうちに親の行動パターンを模倣するというもの。


「Adult」は大人、大人として長年の経験や知識によって、人は客観的な立ち位置を取るというものです。


「Child」は子供、子供の頃の振る舞いが感じ方や思考・行動に影響する状態をいいます。


親は、寛容的・保護的な親(Nurturing Parent)か、規範的あるいは批判的な親(Critical Parent)に分かれ、子供は奔放で自由な子供(Free Child)か、他者に順応する子供(Adapted Child)に分かれます。


私たちはそれぞれのファクターの影響を受けながら、「思考」「感情」「行動」しているのですから、<積極的な生き方・消極的な生き方>、<楽観的な生き方・悲観的な生き方>、<建設的な生き方・破滅的な生き方>の方向性は、「心の奥底の自我との対話」が必要なのです。



「自分と未来は変えられる!」「そうだ!よし、俺は変わったぞ!」---そう容易いものではありませんから、勘違いにご注意ください。


だから、「心の奥底の自我との対話」を始める切っ掛けとなる「強烈な体験」、価値観・思想に影響を受ける「レベルの高い人物との出逢い」、そしてジワリと心の中に浸み込んでくるような「素晴らしい書物との出逢い」が貴重なのです。


人間、そうそう色々と体験できるものでもないですから、「人との出逢いを大切にする」「人から勧められた本は読んでみる」ということが、大きく「自己の変革」と「未来の創造」に貢献してくれるのです。


さぁ、まずは鶴田慎一著『できる上司の「決め言葉」』(中経出版)をお奨めしたいと思います!(本気です!)


本と言えば、㈱アドフィットの加盟企業のS社のF常務から初日の夕方に1冊の本をいただき、その夜一気に読みました。


お奨めの一冊ですから、是非次回にでもご紹介したいと思います。



2012.7.24.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

『「キレイ事」との訣別』

九州をはじめ、西日本各地では大変な水害に遭いました。


謹んでお見舞い申し上げます。


しかしもう次の台風7号の心配もあり、気が休まる暇がないですね。


予想進路は今のところ、九州の西を通過して朝鮮半島に抜けるようですが、、、。



ところで、このところ毎日のニュースで「滋賀のいじめ事件」が取り上げられています。


日々新事実が露呈して、教育長や校長がオロオロする様子が画面に映し出されています。


教育現場では、仕事の「目的」や「目標」は共有されていて、その「責任」も自覚しているはずです。


しかし、肝心のところで「過ちを犯す」のは、時折このお役立ち情報にも書かせて頂いている「価値観」なのです。



普通に問題なく毎日が過ぎている時を、「平時」「治世」とするならば、そこでは「建前」や「キレイ事」がまかり通ります。


潜在的に「保身したい」という心がありながら、問題が生じていなければ「建前」や「キレイ事」で乗り切れてしまいますから、「自分は必死で教育と向き合っているのだ」と信じているのかも知れません。

しかし、いざ問題が生じてみたら、価値観という「心の物差し」は本来のものが出てきてしまうのです。


担任も周りの教師たちもいじめには気が付いているはずなのに、「喧嘩だということにして、仲直りができるはず」という建前の答が最も好都合なものなのです。

事がいじめでの自殺というものに発展したものですから、関係者たちは「自分には責任がない」という保身を貫く必要が出てきました。


だからこそ、子供たちへのアンケートもやる必要があったし、保護者集会なども開く必要があったのですが、その目的は「問題解決」・「今後2度と同じようなことは起こさない」というものではなく、「やらなければ、自分たちが不利な状況になる」からなのでしょう。



「根本的に価値観が間違っているから、記者やメディアに突っ込まれて、新事実を抉り出されてから、渋々認める」というのは、過去の事件を見ても枚挙に暇がありません。


本来なら教育現場こそ、この「価値観」を子供たちに植え付けていかなければいけない人間教育の要のはずです。


現代社会では、ある意味で学校でやるべき人間教育まで「企業での社員教育」に押し付けています。



「平時」「治世」には価値観という「心の物差し」は、建前で塗り固められていてもバレにくいものですが、「非常時」「乱世」には本来持っている価値観が白日の下にさらされるのです。


企業の不祥事においても似たような対応が多いのは、全てここに原因があると言ってもいいでしょう。


不祥事が起きた際の「記者会見のロールプレイング」をやっている企業もありますが、本質的課題ではないところに努力しているのですから、マスコミはそのような会社の取材をしていけば、スクープの宝庫なのかも知れません。

「非常時」「乱世」に対応するには、価値観を磨いていくことであるし、「本音」「事実」「真実」「本質」を捻じ曲げてはならないのです。


もう「キレイ事」とは訣別すべきです。



「本音」と向き合って、少し不味い価値観があるとしたら、可及的速やかに正しい方向を向かせてください。


そのためには、いい影響を与えてくれる「人」や「本」と出会うことや、「強烈に身に染みる体験」をすることです。


大きなミスなどを起こしてしまい、「強烈に身に染みる体験」をして、その原因が自分の価値観そのものにあると気づいた人は、そこから価値観のブラッシュアップに進めるでしょう。


それが「自責人間」ですが、いつも「他のせい」「言い訳」に走るのは「他責人間」です。


「他責人間」では、非常時を乗り越えられません。



「人とのいい出逢い」を大切にして、素晴らしい本に出会う努力もして、「本音」「事実」「真実」「本質」の大切さに確信を持ちましょう。


「人との出逢い」をいいものにするには、「相手を利用してやろう」ではなく「何かお役に立ちたいものだ」という価値観が重要です。


「相手のお役に立ちたい者」同志が「人脈」を形成しますから、そうでなければただの知り合いに過ぎないのです。


建前を捨てて、『「キレイ事」との訣別』を果たしましょう。



2012.7.17.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝


『エンプロイアビリティー』

先週からの合宿研修を終えて、そのまま長野での仕事に向かい、やっと昨夜フラフラしながら帰ってきました。

しかし何だか今年は、みんな急激に節電の意識が下がっている気がしてなりません。

先月この「お役立ち情報」に書いた大阪のホテルといい、長野の新幹線といい、あまりにも寒すぎでした。

テレビの国会中継を見ていても、ニュース番組を見ていても、みんなしっかりとスーツ着込んでネクタイ締めて、原発再稼働や消費税や政党再編を議論している。

国会議員のⅠ氏なんて、スリーピース着込んで2時間まくし立てていましたから、余程スタジオを冷やしていないと持たないでしょうね。

エネルギー・税・社会保障、、、その問題意識と具体策の一つであるクールビズは何処に行ってしまったのでしょうか。



ところで、話はガラッと変わって、奈良の東大寺法華堂から修理のため取り外された奈良時代の天蓋(てんがい=国重要文化財)が、昨日から境内の東大寺ミュージアムで公開されているそうです。

天蓋は木造で法華堂の天井に三つあり、公開されるのは西の間の天蓋(直径約1・8メートル)で、正倉院文書に登場する「倒蓮花(とうれんげ)」で、仏像の頭上を飾り、中央と八方に鏡を取り付けたハスの彫刻を配し、中央の鏡から光が差す様子が表現されていて、降ろした状態での公開は初めてのこと。

展示は東大寺ミュージアムで来年1月14日までで、ご本尊の不空羂索観音立像(国宝)も同ミュージアムに移されているとのことで、滅多に近くで見ることのできないものですし、奈良時代の貴重な文化遺産ですから、このチャンスに是非とも見てみたいものです。

建築関係の方ならずともご興味のある方は多いでしょうから、関西で私とタイミングが合いそうならご一緒しませんか?



ところで先日の合宿に、私の親しい社長のご子息のJ君が受講に来ていました。

まだ就職前の大学4年生で、「場違いなところに来てしまった。」「ヤバい、親父に騙された。」という感じで、当初はかなりビビッていました。

ただでさえ、どちらかと言うとシャイなタイプなだけに、その緊張感・プレッシャーは計り知れないものだったでしょう。


実は親父さんである社長は、彼が受講していいものかと、わざわざ名古屋から東京に相談に来られて、
「もしも学生が社会人の中に入って、周りの足を引っ張るようなことでは申し訳ない。」と気を遣われました。

私は、
「研修では、一体どこのどんな会社の何歳の人とチームを組むのか、集まるまで解らないし、リーダーシップやキャリアや能力レベルもバラバラ。」
「実際に会社の中でも、同様のことが言えるし、同じグループになった人は、正に自部門が学校出たての新人を受け入れたのと同じですよ。」
「必ずそのメンバーの中で、オプティマイズ、つまり現有戦力の最大活用と役割分担や強みの出し方で最適化が始まるから、絶対に大丈夫。」
と太鼓判を押しました。

それにしても、「息子の学生時代の最後に、最大のプレゼントをあげようと思う。」とおっしゃった社長の「粋さ」「優しさ」には、本当に脱帽でした。



さて研修の中では思った通り、グループのメンバー同士のオプティマイズが進んで、見る見るうちにどんどん皆が前向きになっていきました。

最終日の終講式の時の皆さんの目は、別人の輝きを発していました。

無論J君もそうでしたし、彼は研修終了1時間ちょっと後に、(あ、本人の許可を取ってないけど、いいよね。)メールをくれました。

『大学生でありながら参加させていただき、ありがとうございました。
研修前はとても怖ろしく、緊張していましたが、講義中に鶴田先生が気さくに声をかけて下さったり、僕がこの研修に参加している経緯を皆さんに話してくださったおかげで、緊張がほぐれて楽しむことができました。本当にうれしかったです。
2泊3日の研修はとても大変でしたが、今は達成感と満足感でいっぱいです。参加して本当によかったと思っています。
先生に言われた通り、一流の社会人になれるようにがんばります!
本当にありがとうございました。』

彼はきっと、たったの3日間で、3年分も5年分も成長しています。



英語のEmploy(雇用する)とAbility(能力)をくっつけた造語で、「エンプロイアビリティー」という言葉がありますが、これは20世紀終盤のアメリカで生まれた概念です。

苦境にあったアメリカ経済の中で、リストラクチャリング・ダウンサイジングetcに伴う雇用調整が進む中で考え出された言葉です。

日本では98年頃から言われるようになったのですが、それほど多く使われることもなかったので、知らない方も多いとは思いますが、、。


ポイントは、<雇われる能力は、自助努力で身につけよ!>ということです。

就職の厳しい時代に、酷なことを言うようですが、どんな時代でも強く生き抜くには必要な感覚だと思います。


視点は2つあります。

1つは、「現在の雇用を継続される価値を有するか」ということで、自分の「人財」としての現在価値をしっかりと自覚して、「雇用継続力」を磨きなさいということです。


2つ目は、「社外に通用する能力」「人財としての市場価値」「市場性のある職業能力」を持っているか、ということです。

換言すれば、もしも転職するようなことがあったら、「他社に採用され得るか」つまり、「転職可能能力」という側面です。


仕事というのは、社員が活躍できるステージを「企業」が創り、その舞台に立つアーティストは主演・助演・チョイ役・エキストラなどに、自ずと役割は分かれていくのです。

あなたが組織に2割しかいない「人財」だと胸を張れるか、普通の人「人材」であるか、とりあえず頭数にカウントされるだけの「人在」、合わせて6割の中に居続けるか。

自らの決意・意思決定によって、今後の自分の前向きな変化が始まるかどうかが決まるのです。

間違っても残りの2割に入らないように願っていますが、組織の中の「困ったチャン」=「人罪」、「周りまで腐らせてしまう、箱の中の腐ったりんご」=「人災」、ここにだけは行かないようにというのでは、残念ながら「エンプロイアビリティー」の確立はできないのです。

まず、最初に決意すべきは、『「人財」と呼ばれる「エンプロイアビリティー」溢れる人間になる!』ということ以外にありません。


この暑苦しい時に、暑苦しいメッセージとなり恐縮ですが、「強く」「明るく」「楽しく」「イキイキと」生き抜くために、頑張りましょう!


2012.7.11.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

「非常識」「未常識」な『存在価値競争』

昨日は千葉での仕事で、銚子から潮来廻りで帰ってきましたが、久しぶりに合計5時間位の運転で、帰った時には流石にヘトヘトでしたが、充実感溢れる一日でもありました。


帰りの高速に乗る前にガソリンを満タンにしておこうと思い、セルフのスタンドに入ったのですが、給油が終わるとパネルの画面がスロットに変わり、BAR BAR BARが並んで「おめでとう!2等賞です!2円値引き!」。


うーん、エコカーに換える前に当たりたかった、、、。



そう言えば、先週の『ポジティブ・サイコロジー(前向き心理学)』の最後に、『人吉城歴史館の中に謎の地下室があり、とにかく寸暇を惜しんで、それを見たいと思い行ってきました。』と書きました。


中小企業大学校のご担当のO氏からメールで、「この歴史ミステリーを解き明かして、HPにUPせよ!」との厳命が下りまして、「あ、あまりに忙しすぎて、全く考えるような余裕がなかったー、、」とブツブツ。



まずは少し背景から書くと、「人吉城歴史館」は平家落人伝説で有名な熊本県人吉市に670年続いた相良藩の人吉城跡の一角にあり、2005年末のオープンという、比較的新しい歴史館です。


鎌倉時代からの相良藩の歴史や、居城であった人吉城跡の構造や特徴の解説や様々な馬具や武具などの歴史的展示品もあります。


相良藩の歴史は、800年余り前の源頼朝の時代に遡りますが、時の相良長頼が源頼朝の命でこの地を統治したことから、永永と続いていきます。


薩摩の島津に敗れたり、秀吉に敗れたりという紆余曲折はここでは省くとして、九州内陸の人吉盆地は天然の要塞であり、明治4年の廃藩置県まで支配を続けたということです。


「人吉城歴史館」の施設内には、1998年の発掘調査で発見された「井戸のある地下室遺構」が整備保存され、井戸の底からは一振の日本刀も発見されています。


この地下室は、家老・相良清兵衛頼兄の屋敷内の、二階建ての「持仏堂」の位置にあったと言われていますが、


「何故、地下室を掘り、その中に井戸まで掘ったのか。このような地下室は世界的にも発見例がないという」


「長男内蔵助屋敷跡にも、同様の地下室があるのは何故か」


「一体何のために造ったのか」がミステリーです。



相良藩は、21,000石もの新田開発に力を注ぎ、産業政策にも力を入れていたようです。


また、舟の航行が不可能とされていた日本三大急流の一つである球磨川は、商人の林正盛が寛文5年(1665年)に改修工事を完成させ、これによって河口の八代までの産物運搬の水路としての機能が確保されました。


しかし、内紛も多い藩だったようで、権力を強めていった家老・相良清兵衛頼兄に、藩はその専横を幕府に訴え裁可を仰いだそうです。


頼兄は江戸へ召還され小田原藩仮預かりとなり、この間に江戸屋敷より国許への使者として神瀬外記、深水惣左衛門が遣わされ、その内容は、「頼兄の養子である田代半兵衛頼昌を引き続き藩士として取り立てる」というものであったそうですが、半兵衛は既に頼兄の処分を知っており、「お下屋敷」と呼ばれる頼兄の屋敷に呼ばれた外記と惣左衛門は半兵衛らに襲われました。


惣左衛門は何とか無事に逃げたのですが、外記は捕えられて全ての指を切られた上で殺害されたようです。


そして頼兄の一族はお下屋敷に立て籠もり、藩兵がこれを取り囲んで戦闘となり、頼兄の一族全員が討ち死にか自害によって、一族全員121名が死亡したといいます。



これが「お下の乱」と呼ばれる事件ですが、事件直後に埋められた「井戸のある地下室」が近年になってから発掘され、


「キリシタン禁制の時代、隠れキリシタンの礼拝堂では?!」


「いや薩摩藩と同じく、浄土真宗本願寺派禁制だったし、「持仏堂」の地下だからそちらの方かも?!」


「事件直後に地下室が埋められたということは、日本伝統の崇りと畏れの文化か、、、」


「井戸に沈められていた一振りの日本刀に込められた想いや意味とは、、、」


まあ諸説紛々でしょうが、私は「やりたい放題やっていた家老・相良清兵衛頼兄ですから、いつかは攻められることも予想して、身を隠して生きながらえるためなのじゃないのかなー?!」と思いましたが、、、やはり謎。


結論!「後は歴史学者に任せて、本業に戻ります!」


人吉は飲んでも食べてもリーズナブルで、実に旨いですから、歴史ミステリー・ファンの方は是非一度足を運んでみてください。



さて、本業に戻って、、、「成熟経済」という、大きなターニング・ポイントに突入して久しい日本ですが、あらゆる商品やサービスが、「成熟した市場」に溢れかえっています。


このような経営環境の中では、企業は全社員の知恵と努力の総力を上げて、「存在価値」を高めることに注力しなければなりません。


「品質」「技術」「機能」「斬新なデザイン」「コスト・パフォーマンス」「デリバリー・システム」「サービス」「ソフト」、、、、と、様々な観点から「新しい価値創造」を果たすことこそ、「存在価値競争」に勝ち残ることにつながります。


しかも、「顧客の要求水準も年々厳しいものになっている」という企業も多いものです。


成熟した市場でも、全く新しい「品質」「技術」「機能」「斬新なデザイン」「コスト・パフォーマンス」「デリバリー・システム」「サービス」「ソフト」などを開発できれば、「新しい存在価値」を生み出すということはできるでしょうが、容易なことではありません。


成熟した「事業」や「商品」「サービス」などを、「新たな成長路線」に引き戻すために、どんなことをやればいいのかということを考える方が近道であることも多いと思います。



P.L.C.(プロダクト・ライフ・サイクル)は、「事業」や「商品」「サービス」が<研究開発期>で生み出されてから<市場導入期>で市場に投入・導入され、<成長期>には大きく業績貢献して、やがて<成熟期>を迎えて、最後には<衰退期>から<寿命>を迎えるというものです。


もちろん「事業」や「商品」「サービス」によって、そのサイクルは成熟状態を保ち続けるものや「一発屋芸人」の如く超短命に終わる「流行りもの」まで多様です。


「事業」や「商品」「サービス」をいかにして磨き直すのか、全く違う使途を考えたり、これまで考えもしなかった顧客業界開発をするのか、「常識」を逸脱させてみて考えることにも価値があります。


昨日伺った企業でも、これまでかなり色々な努力をしてこられていて、「次のテーマの1つはこれだな」と強く感じました。


いかに「非常識」「未常識」な発想をしてみるかという時に、「やんちゃな社員」の発想が役立つことがあります。


自由な発想・自由な発言を抑え込まずに、どんどん飛び出してくるような社内環境を整えていきましょう。



私がマーケティングのお手伝いをしている企業でも、「鳴かず飛ばずだった社員」が豹変して、「本人の新たな成長期」に突入するということもあります。


『「鳴かず飛ばずの社員」とは失礼な!』、とお感じになる方もいらっしゃるかも知れませんが、大丈夫です。


このお役立ち情報を読まれる方は、ほぼ100%「鳴いて」「飛ぶ」人たちになっているはずです。


でなければ、「この行まで読み続けることに耐えられない」と確信しています。



2012.7.3.  ビジネススキル研究所  鶴田 慎一  拝

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