まだ桜の花も咲かないというのに、今朝南シナ海で台風1号が発生したそうです。
まだまだ暫くは日本に上陸するような台風は来ないのでしょうが、考えてみると台風は年間のほんの3~4ヶ月を除いて発生しているのですね。
日本は地球の4つのプレートの集積地ですから、地震や火山噴火に台風などの被害が多いのですが、今年は大きな天災が発生しないことを願うばかりです。
さて、先日久しぶりに映画を観てきました。
第84回アカデミー賞で主演女優賞とメイクアップ賞を受賞した、話題の映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』です。
マーガレット・サッチャーを演じるメリル・ストリープが実に名演でした。
ご存知の通り、マーガレット・サッチャーはイギリス初の女性首相として強力なリーダーシップを発揮しましたが、「鉄の女」と呼ばれるほどの強さと、その裏に隠されたトップリーダーの孤独な一面とのコントラストが、この映画を素晴らしい人間ドラマに仕立てていました。
メリル・ストリープのメイクアップは、実に何十年の年齢幅を見事に表現し、流石はメイクアップ賞だというものでした。
マーガレット・サッチャーは食糧雑貨商の家に生まれ、家訓であった「質素倹約」「自己責任・自助努力」の精神は、その政治信条にも強く織り込まれていたようです。
サッチャリズムと呼ばれていますが、サッチャーは新自由主義的な経済改革を推し進めて、電話・ガス・空港・航空・水道等の国有企業民営化や規制緩和、金融システム改革などを強いリーダーシップで断行しました。
さらに改革の障害となった労働組合の影響力も抑え込み、所得税・法人税の大幅な税率の引き下げを実施して、消費税は1979年に従来の8%から15%に引き上げました。
ホテルでIRA(IRISH REPUBLICAN ARMY、アイルランド共和軍)による爆弾テロに遭うなど、物語は波乱万丈の展開を見せます。
フォークランド紛争勃発の際の政治決断のシーンなどは、どこぞの国の防衛大臣に見せなきゃならんなと思います。
その後、労働党のトニー・ブレア政権によって、行き過ぎたサッチャリズムでの弊害の是正が行われたのですが、政治・経済改革などの喫緊のテーマは、何だか今の日本の状況に似ている感ありです。
かつて「鉄の女」と呼ばれ、最も手ごわい政治家と称されたサッチャーが、数年前から認知症を発症し、夫のデニス・サッチャー氏が他界したことも忘れるほど記憶力が減退しているシーンには悲哀が漂います。
全般的に実に繊細なタッチで描かれていて、いい作品ですから、まだ観ていない方には、是非お勧めしたいです。
サッチャー語録を調べてみると色々あるのですが、彼女の『全体最適の論理』への強い意志を象徴するのが、
「あなたの旗は赤旗でしょう? わたしの旗はユニオンジャックです。」
国にとって最適の判断のためなら、あえて敵を作ることも構わないという、政治家としても勇気のいる一言ですね。
国も企業も大きな変革を成し遂げるには、『全体最適の論理』と『鉄の意志』が必要です。
換言すれば、「国旗」「社旗」を守り通すためにベストな政策を断行するということです。
ついでに語録をもう一つ、
「言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい。」
ウーン複雑なれど、けだし名言。
特に幹部・上司の皆さんは理屈ばかり捏ねていないで、部下たちに成果を見せつけるような「実践行動」に邁進していきましょう!
2011.3.29. ビジネススキル研究所 鶴田 慎一 拝