一昨日、ちょうど1か月ぶりのゴルフに出かけました。
半袖でも汗ばむほどの陽気で、しかも何と5ホール目までアンダーパーという最高にご機嫌の状態でしたが、やはり上がってみるとベストスコアの更新ならず、、、。
そんなことを言っている場合ではなく、またしても円高が進み、今朝の段階で1ドルが75円73銭という輸出企業にとっては目を覆いたくなる数字です。
円高といえばよく「海外旅行に出かける人」が空港でのTVインタビューで、「円高でラッキー!」なんて言ってますが、『行きは良い良い、帰りは恐い』ということで、「円高を満喫して帰国したら、自分の雇用が脅かされていた」なんてことがなければいいのですが、、、。
1971年アメリカのニクソン大統領がドル流失を防ぐためにドルと金の交換停止を発表したのがニクソン・ショックですが、通貨の多国間調整(金1オンスを35ドルから38ドルへ、1ドル360円から308円に切り上げ)で固定相場制は維持されました。
この体制も長続きはせず、1973年に日本を含む先進各国は相次いで変動相場制に切り替えました。
その後も円は上がり続け、私がはじめて海外に出かけた頃のレートは1ドル250円位になっていました。
40年間で4.8倍という円高圧力・為替リスクに対する日本企業の努力は、凄いものであったと改めて感じます。
しかし、ギリシャの国家的破綻を契機に大手金融機関のデクシアが破綻し、世界経済が不透明感を増しているため、この円高は「緊急避難措置的な円買い」が中心でしょう。
とは言え、放っておいていい話ではなくて、70円を切る円高や1ユーロ90円という水準もあり得ることで、世界的金融危機であることは確かですから、適正水準に持っていく努力は必要です。
自国の力では金融・財政の改善が出来ない可能性のあるヨーロッパの国が、該当する国の英語の頭文字からピッグス諸国と呼ばれているのはご存知の通りです。
はじめは、ポルトガル(Portugal)、イタリア(Italy)、ギリシャ(Greece)、スペイン(Spain)の頭文字でPIGSでしたが、アイルランド(Ireland) を加えてPIIGS(ピーグス)と言われるようになっています。
殊にギリシャの現状(惨状)は毎日報道されていますが、「国内労働者の4分の1が公務員という異常な構成で、国民全体が買い物や飲食で税を払わない脱税天国」となっていたのですから、今日の事態は確実に予測していたはずです。
洋の東西を問わず、課題を先延ばしにしたり、「国家の利益」より「個人や党や派閥の利益」に腐心してきた政治家や識者の罪は大きいですね。
また、国民もその反省に立って考えれば、暴動を繰り返すより「国家のリストラクチャリング(再構築)」に早く踏み出さないと、正常化の日が遅れるばかりです。
しんどい時ほど明日を見なければならないというのは、先日の「小林虎三郎」で書いた通りです。
日本のTPP参加の議論は賛否両論真っ二つという感じで、キーワードは『既得権益』であろうと思います。
誰しも『既に得ている権益』を手放したくはないし、「利害不一致」となるのは至極当然のことです。
農林水産業においても、これまでの保護政策から「健全な流動化」ということを真剣に考える必要があると思います。
流動化させるといっても「誰かのモノを奪い取って流通させる」のではなくて、「使いこなせていないモノが、使いこなせる人の元へ適正価格(or 適正賃料)で移動する」ということでしょう。
例えば日本の食糧自給率を例にとってみると、算出法は「重量ベース」「カロリーベース」「金額ベース」がありますが、通常はカロリーベース総合食料自給率で発表され、最新値(平成22年度農水省概算値)で39%です。
先進国比較では、アメリカ124%、フランス111%、ドイツ80%、イギリス65%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準です。
穀物自給率に至っては、日本は28%で、アメリカやOECD(経済協力開発機構)に加盟しているヨーロッパ諸国などの先進国30カ国の中で低い方から3番目です。
また、一番高い国はオーストラリア(198%)で、次がフランス(186%)、3番目がハンガリー(140%)で、自給率が低い国はアイスランド(0%)、次にオランダ(25%)で、日本は低い方から3番目なのです。
日本のカロリーベースの食料自給率は、昭和40年度には73%の水準にあったのですが、そこから労働者の第一次産業離れが進み、食料自給率は低下の一途をたどっています。
金額ベースの場合は、生産額ベース総合食料自給率といい、最新値(平成22年度農水省概算値)で69%ですから、「意外と高いじゃないか」とお感じになる方も多いと思いますが、「野菜やくだものなどの、金額が高くてカロリーが低い農産物の生産は盛ん」と読み取ることができるでしょう。
製造業の空洞化が加速していますが、「値段が安くて、価格競争の激しいものは海外生産」「技術力・競争力・付加価値の大きいものは国内生産」というように、傾向的には農産物も工業生産も似通ったことになるでしょう。
雇用の流動化も内容は様々で、派遣労働の拡充や請負の増大、正社員の解雇権濫用法理の緩和等、環境変化によって産業構造も雇用の形も様変わりしています。
非正規労働者の人の「無権利状態」や、「派遣切り」「雇い止め」などの問題も無差別殺人などでクローズアップされてきましたが、まずは自分自身の「働く意思」「頑張る意思」が大事です。
例えば、オイルマネーで潤い「社会保障」も充実している産油国では、このところNEET問題が大きくなっています。
「働けるのに働かない」という労働意欲の問題、「そんな3Kの仕事は嫌だ」と贅沢を言い、「自分がやりたいのはこんなカッコいい仕事だ」というスキルもないのにできない仕事ばかりに憧れるというケースも多いようです。
「比較的に楽をして育ち、食うに困ったこともなく、ハングリー精神もなく」となれば、そうなってしまう人間は多いのかも知れません。
「社会保障」とは、失業などの事態から労働者を救う仕組みですが、それを強化しすぎると労働意欲の低下が起き、社会システムの衰退を招く恐れもあるでしょう。
アメリカのように「雇用流動化」が進み過ぎてしまうと、好不況の波が露骨に失業者激増ということにつながってしまうという問題があります。
あらゆるカテゴリーでの「健全な流動化」とは、確かに難しいテーマではありますが、それを避けていては「明日の健全な社会システム」を創ることができないでしょう。
「明るい未来の日本を創るための健全な流動化」、一緒に考えてみませんか?
2011.10.26 ビジネススキル研究所 鶴田 慎一 拝
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