2015.3.18.の新着情報に【『トップに立つ者の経営への謙虚な取り組み』(大塚家具問題)】と書きました。
http://biz-skill.ldblog.jp/archives/8752664.html
をご参照ください。
あれから5年近くが経ちましたが、やはり危惧が現実化しました。
大塚家具会長と娘である社長の骨肉の争いで、互いの退任を求めて悲しきプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)が展開され、ドロドロの親子喧嘩の代償はやはり大きいものでした。
企業イメージと社風と体力の劣化を賭してまで争った御家騒動は、大塚家具の評判を一気に落として約280億円の利益剰余金は見る見るうちに消えていきました。
目の前に迫る資金ショートに焦り、中国に活路を求めたかと思えば、今度はヤマダ電機の子会社になるというところまで転落してしまいました。
既にヤマダ電機と大塚家具は2月に業務提携し、家具など住宅関連の商品を増やしたヤマダ電機の新業態店に、大塚家具が社員を派遣するなどはしていますが、経営破綻も視野に入ってくるため子会社化を決断し、事実上の身売りによって経営再建を図るようです。

第三者割当増資で大塚家具の株式の51%を43億円で手に入れたヤマダ電機は、900万株分の新株予約権も約22億円で手に入れましたが、お得な買い物だったかジョーカーを引いてしまったか、今後のヤマダ電機の戦略に興味津々です。
記者会見では大塚久美子氏の社長続投を発表しましたが、黒字転換ができなければ即お払い箱になるのではないでしょうか。

ニトリやイケアという自社で低価格の商品を開発する家具小売りの土俵に上がって、競争力に負けて業績を落とし続けてきたわけですから、マーケティングの大きなミスジャッジでしょう。
前会長が興した匠大塚が小さいながらも業績を伸ばし続けていることでも、企業イメージと社風と体力の劣化を起こした経営判断のミスは、有能なお嬢様の驕りと油断を示す証左でしょう。
果たしてヤマダの店舗でのシナジー効果が得られるか、まだまだ業績回復にはいばらの道が待っていると思います。
久美子社長はこれまでも資本・業務提携している貸し会議室大手のティーケーピーや、ヨドバシカメラや今回のヤマダ電機などの家電量販店にも増資引き受けを求めましたが、出資比率などで折り合わずに破談になっていました。
久美子社長続投を条件として、ヤマダ電機が51%の株式を得るための条件提示をしたものでしょうが、すぐに業績回復できないのであれば、ヤマダ電機の戦略を推進するために、久美子社長の存在はすぐに不要ということになるのではないでしょうか。

会社と顧客の間には男女の恋愛感情のような感覚がありますから、相手に対して幻滅や嫌気というものが心に焼き付けば、簡単に取り戻せるものではありません。
大塚家具のように経営者が巻き起こした騒動は、想像以上に強烈なボディーブローとして効いていますから、社名変更や社長交代でヤマダ電機のイメージに乗せていくことも考えるのではないでしょうか。
経営者どころか、アルバイト店員のやらかした不祥事でも企業は大変なダメージを受けてしまうものです。
例を挙げれば、SNSによるバイトテロで「大戸屋」「くら寿司」「バーミヤン」「セブンイレブン」等々、多くの企業がバイト店員の悪ふざけの餌食になってしまいました。
この時代が抱える「REPUTATION RISK」、つまり企業の評判に係わることへの管理・監督の不足や軽視・手抜きであります。
そこに人手不足の問題が加わり、現場任せのマネジメントがリスクに拍車をかけていくのです。
顧客の信頼・信用を得るには長い年月を要するものですが、ほんの一瞬の出来事で信頼・信用は失墜してしまうのです。
一人のお客様の信頼を得るためには大変な苦労をしますが、一人のお客様の信頼を損なえば何人ものお客様を引き連れて去ってしまうものなのです。

「他の人では誰も代わりが務まらないほどの重要人物」を差すことに、「余人をもって代え難し」という言葉がありますが、その人物が本当に「人財」なのか、もしくは「人罪」なのか、その思想を厳しく見極める必要があります。
「速やかに余人をもって代えるべし」とならないためには、思想・価値観というものを軽視せず、自社の「商いへの想い」と「戦略」をパート・アルバイト社員に至るまで徹底共育することです。
人は思想・価値観というベースで思考し、その思考は語る言葉に表れ、その言葉は行動へと踏み切らせますから、成果のコアな部分は価値観の形成でしかないのです。
ベースが間違いや嘘や綺麗事であれば、人も企業も失敗に向けて歩を進めることになりますから、この肝心要の教育を徹底すべきです。
たった一人の無思想な人間に、企業は土俵際まで追い詰められる時代だという認識を強く持っていただくことが必要です。
企業イメージダウンの行き着く先は、「下り坂」よりも厳しい「まさか」なのです。


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